エヌビディアCEO、米下院外交委と会合 ファーウェイAI半導体の脅威を共有
2025年5月1日、米国ワシントンでエヌビディアのジェンスン・フアンCEOが米下院外交委員会と非公開の会合を行い、中国ファーウェイ製AI半導体に関する懸念を共有したことが、ロイターの報道によって明らかになった。
米中技術覇権の最前線にあるAI半導体の競争が、安全保障の文脈で改めて注目されている。
ファーウェイ製AI半導体への懸念高まる 米国の技術覇権に揺さぶり
今回の非公開会合は、AI技術の安全保障上の重要性が一段と高まる中で開催された。
会合の焦点は、中国のファーウェイが開発・製造するAI向け半導体の性能向上と、その影響に置かれた。
会合の内容を明らかにした同委員会事務局幹部の１人によると、特に懸念されているのは、ディープシークの学習にファーウェイ製半導体が用いられている可能性だ。
これにより、オープンソースで流通する中国製AIモデルが、世界中の開発者にとって利便性の高い選択肢となる可能性が指摘された。
AI技術が国境を越えて広がるなかで、米国主導の技術基盤が相対的に劣勢となるリスクが懸念される構図だ。
こうした状況に対し、エヌビディアの広報担当者は、AI技術の戦略的価値を強調し、米国内製造業への投資が不可欠だと訴えた。
エヌビディアは、自社の先端技術が米国の国益に貢献することを目的に、今後も政府の政策と足並みを揃える姿勢を示している。
米中AI半導体競争の帰趨 輸出規制強化と市場シフトの行方
エヌビディアはこれまで、米政府の輸出規制に抵触しないよう中国市場向けの半導体を個別に設計・出荷してきた。
しかし、近年の情勢変化により、トランプ政権から特定製品（「Ｈ20」）の販売中止を要請されるなど、対応は一段と厳格化されている。
米国の規制方針が厳しくなる一方で、中国は国内での半導体製造能力を高めることで、外資依存を徐々に解消しようとする動きを加速させている。
ファーウェイのような中国企業が開発する高性能半導体が、AIモデルの学習や推論において競争力を持つようになると、グローバル市場での勢力図は変わる可能性がある。
開発者や企業がよりコスト効率や性能の高いプラットフォームを求める中で、中国製半導体を採用する流れが強まれば、米国製品の競争力低下につながるおそれもある。
こうした中、エヌビディアにとっての鍵は、国内投資による製造体制の強化と、規制を遵守しながらも製品開発の柔軟性を保つことだろう。
今後は、米中の技術覇権を左右する局面で、企業と政府の連携が一層重要になると見られる。
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