ChatGPTに「買い物」機能追加、検索エンジン競争に新局面か

2025年4月28日、米OpenAIは、生成AI「ChatGPT」に新たな「買い物」機能を追加したと発表した。チャットでの対話を通じて商品を検索・購入できる仕組みで、検索機能の強化を通じてGoogleなどの既存検索エンジンと競合する動きとして注目されている。
ChatGPTが商品検索機能を拡充 チャット上で完結か
OpenAIが28日に発表した新機能「買い物」は、ユーザーが欲しい商品の条件を入力するだけで、ChatGPTが複数の候補を提示し、それぞれの価格、レビュー、画像といった情報を一覧で示す機能だ。
購入先へのリンクも表示されるため、ユーザーはそのまま外部のECサイトに遷移して購入できる。
これにより、従来の検索エンジンを使った「商品を探して比較する」という行為を、チャット上で完結できる体験へと変えると考えられる。
ChatGPTの検索機能はすでに大規模に利用されており、OpenAIによると過去1週間だけでも10億回を超える検索が行われたという。今回の買い物機能追加は、この成長を背景とした戦略的な拡張と位置づけられる。
検索に関する習慣や導線が変化しつつある中、ChatGPTはユーザーにとっての「情報取得の起点」としての役割を強めようとしていると考えられる。
新機能は、4月28日より順次実装が始まっており、無料アカウントユーザーや未ログイン状態でも利用可能となる予定である。
この対応により、サービスの認知拡大と利用者ベースのさらなる拡張が見込まれる。
Googleと競合か 「生成型検索」の今後の主戦場とは
ChatGPTが提供する買い物機能は、単なる補助的な検索支援にとどまらず、検索エンジンの利用スタイルそのものを変える可能性を秘めているだろう。
従来のキーワードベースの検索とは異なり、文脈を理解しながら対話形式で情報を提示できる点は、生成AIならではの優位性といえる。
ユーザーの意図や好みに応じて絞り込みを行えるため、広告リンクやSEO(※)対策で上位に出る情報とは異なる、本質的な比較が可能となるだろう。
一方で、精度の高い商品情報の抽出や信頼性の担保、提携先との連携強化といった課題も残ると考えられる。
Googleが検索・広告の双方を強く支配してきたなかで、ChatGPTが本格的な競争相手になるには、膨大なリアルタイムデータの取得・整理・提供といった領域での技術的裏付けが不可欠になるだろう。
今後、生成AIによる「検索の自動化」は、広告収益構造やEC集客戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
ユーザーにとっては利便性の向上が期待される一方、プラットフォーム同士の競争は今後さらに激化する局面に突入すると見られる。
※SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化の略。検索結果での上位表示を狙い、Webページの構成や内容を工夫するマーケティング施策。