アルファベット、AI戦略が実を結ぶ 2025年第1四半期決算で大幅増益、Geminiと概要機能が成長を牽引

2025年4月24日、米Googleの親会社である米Alphabet(アルファベット)は、2025年第1四半期の決算を発表した。AI主導の製品群とユーザー基盤の拡大を背景に、売上・利益ともにアナリスト予想を大きく上回る結果となった。
予想超えの好決算、AIが主導するAlphabetの多層的成長構造
Alphabetが公開した2025年第1四半期決算では、売上高902億3400万ドル(前年同期比12%増)、純利益345億4000万ドル(同46%増)と、いずれもアナリスト予想を大幅に上回る結果となった。1株当たり利益も2.81ドルに達し、アナリスト予想の2.01ドルを大きく上回る。
CEOのスンダー・ピチャイ氏は、「この成長の根底には当社のユニークなフルスタックのAIアプローチがある」とし、「Gemini 2.5が将来のイノベーションの基盤になる」と説明した。
これにより検索エンジンやクラウド、動画配信といった各事業が有機的に連動し、収益性を押し上げている構図が読み取れる。
部門別では、「Googleサービス」部門が773億ドル(10%増)、「Google Cloud」部門が123億ドル(28%増)と大幅な伸びを示した。中でもクラウド事業の成長は、企業のAIインフラ需要の拡大が要因とされる。
一方で、実験的事業を担うOther Betsは4億5000万ドルで、前年同期比9%減となった。
注目すべきは、AIによる検索結果の要約機能「AI Overviews」(日本では「AIによる概要」)が月間15億人以上のアクティブユーザー(MAU)を獲得している点である。
これは、従来の検索体験に対するユーザーの期待の変化を如実に示しており、Googleの根幹である検索サービスに新たな進化の兆しが見える。
今後の展望
AlphabetのAI戦略は業績改善にとどまらず、今後の市場構造にも影響を及ぼす可能性がある。
Gemini 2.5のような高度なAIモデルは、検索やビジネスツール、コンテンツ生成などで既存のエコシステムを再構築し得る。また、AI要約機能の普及により、情報取得のスタイルは「検索」から「理解」へと移りつつある。
加えて、YouTubeのサブスクリプション数が2億7000万件を超え、Google Oneの拡大も追い風となっている。AIがコンテンツ提案の精度を高めていることが、ユーザーエンゲージメントの向上に寄与しているとみられる。
こうしたサービスの利用拡大は、データ収集の質と量を高め、さらなるAIの進化を促進するだろう。
従業員数も18万5719人と前年同期から4800人以上増加しており、これはAlphabetが新領域への積極投資を進めている証左である。
Alphabetは今後もAIを中核とした統合戦略を強化しつつ、競合他社との差別化を図っていくものと考えられる。これがどこまで市場に浸透するかが、次の四半期の注目点となるだろう。