AIと機械学習の通信処理が3000％増加　ChatGPTが利用・遮断の両面で最多

2025年4月24日に公開された米Zscaler（ゼットスケーラー）の「2025年版 Zscaler ThreatLabz AIセキュリティ レポート」によると、2024年2月から12月の間に、同社のクラウド基盤「Zero Trust Exchange」で処理されたAIと機械学習（AI/ML）のトランザクションが前年比で3000％以上増加した。
特にOpenAIの「ChatGPT」が全体の45.2％を占め、最も利用されると同時に最も遮断されたAIツールとなっている。

ChatGPTの利用急増と企業が直面する新たな課題

Zscalerのレポートによれば、2024年2月から12月の間に、同社のクラウド基盤「Zero Trust Exchange」で処理されたAI/MLトランザクションは5360億件を超え、データ量は3624テラバイトに達した。

この急増の背景には、生成AIツールの業務活用が進んだことがある。特にChatGPTは、全AI/MLトランザクションの45.2％を占め、最も利用されたAIツールとなった。

しかし同時に、企業が最も多く遮断したAIツールでもあり、全体の59.9％のAI/MLトランザクションがブロックされている。
これは、データ漏洩や不正アクセス、コンプライアンス違反などのリスクを企業が強く意識していることを示している。

他にも、GrammarlyやMicrosoft Copilot、QuillBot、WordtuneなどのAIツールが多く利用されており、これらも遮断対象となっている。

特に、ChatGPTは企業の生産性向上に寄与する一方で、機密情報の漏洩リスクが高まることから、企業はその利用を慎重に管理する必要がある。

今後の展望

AI/MLトランザクションの急増は、企業の生産性向上と同時に、セキュリティリスクの高まりを示唆している。​

今後、企業はAI/MLの活用を進める一方で、セキュリティリスクへの対応を強化する必要がある。​
特に、ゼロトラストアーキテクチャ（※）の導入や、AIツールの利用ポリシーの整備、従業員への教育などが求められる。

​また、AIを活用したサイバー攻撃の高度化にも備える必要があり、企業はAIセキュリティの専門知識を持つ人材の確保や、最新のセキュリティ技術の導入を検討すべきだろう。​

さらに、AI技術の進化に伴い、企業はAIツールの選定や導入において、セキュリティリスクを十分に考慮する必要がある。
このように、AI/MLの活用が進む中で、企業はセキュリティリスクへの対応を強化し、適切なガバナンスを構築することが重要である。

​今後の展望として、企業はAI技術の導入とセキュリティ対策のバランスを取りながら、持続可能なデジタルトランスフォーメーション（DX）を実現していくことが求められる。

※ゼロトラストアーキテクチャ：すべてのアクセスを信頼せず、常に検証するセキュリティモデル。ユーザーやデバイスの認証・認可を厳密に行い、最小限のアクセス権を付与することで、内部・外部からの脅威に対応する。