中国・百度がAIエージェント「心響」を提供開始 スマホで使える次世代パーソナルAIが登場

2025年4月22日、中国のIT大手・百度(バイドゥ)は、スマートフォン向けの新しいAIエージェント「心響(シンシアン)」の提供を開始した。
百度のAIエージェント「心響」が示す、ユーザー主導型インターフェースの進化
百度が新たに発表したAIエージェント「心響」は、スマートフォンを主戦場とするユーザーインターフェースの大きな転換点を象徴する存在だ。
これまでのチャットボットやAIアシスタントと異なり、「心響」は自然言語処理(NLP)と機械学習技術を融合させることで、ユーザーが意図する複雑な指示を高精度で解釈し、即座に実行可能なアウトプットへと変換する機能を備えている。
「心響」の特徴は大きく三点に集約される。
第一に、膨大なオンラインデータを高速に検索・分析し、ユーザーが求める情報を整理して提示する情報分析機能。
第二に、行き先・日程・予算などの条件をもとに、個別最適化された旅行プランを生成する旅行計画支援。
第三に、日常の予定やToDoの整理・進行状況の視覚化を行うタスク管理機能である。
これらを通じて「心響」は、従来の一問一答型インターフェースから脱却し、ユーザーの目的に寄り添う“行動型AI”として設計されている。
アプリ自体は現在、Android OSを対象に提供が開始されており、iOS向けバージョンの開発も検討されている。
激化する中国のAIエージェント競争と、「心響」がもたらす今後の展望
百度による「心響」のリリースは、中国国内で進行中のAIエージェント開発競争において、存在感を強める重要な一手となるだろう。
特にアリババやテンセントといった他の大手IT企業もAI領域に注力するなか、百度は独自の検索エンジン資産と自然言語処理技術を武器に、実用性に特化したプロダクトとして差別化を図っている。
「心響」は、ビジネス層やテック系メディアを中心に関心を集めると思われる。加えて、今後iOSへの対応が実現すれば、ユーザー層のさらなる拡大が見込まれる。
また、サードパーティ連携や生成AI機能の強化といったアップデートにより、今後は単なるアシスタントではなく、ユーザーの“意思決定支援”までを担う存在へと進化する可能性もある。
一方で、懸念もある。
ユーザーの個人データをもとに動作する以上、プライバシー管理やデータの透明性に対する社会的責任も問われることになるだろう。
今後の普及と信頼の両立には、技術だけでなく倫理面での対応が重要な鍵を握ると思われる。