テックタッチ、「AI Central Voice」を発表 企業内データを実用的な示唆へ変える新戦略AI

2025年4月24日、テックタッチ株式会社(日本)は、企業内の非構造化データ(※)をAIで解析し、業務改善の具体策を導くデータ戦略AIエージェント「AI Central Voice」を発表した。
すでに複数の大手企業が導入を開始しており、データ活用の新たな可能性を提示する動きとして注目されている。
非構造化データの分析精度を高めるAI Central Voice
テックタッチが発表した「AI Central Voice」は、企業内の多種多様な情報資産を有効活用するためのAIエージェントだ。
特に、顧客の声や従業員のフィードバック、営業日報といった非構造化データを対象とし、業務改善に直結する示唆を導き出す仕組みが特徴である。
従来のAIでは処理が難しかったこれらのデータに対し、同サービスは30種類以上の独自前処理モジュールを組み合わせ、情報の整理と分析を高精度で実行する。
これにより、曖昧な表現や話し言葉など、ノイズを含むテキストデータからでも有用なインサイトを抽出できる点が強みといえる。
また、業界ごとに最適化された学習モデルを採用しており、保険業界や不動産業界といった特定分野において、より実践的な分析が可能だ。単なるデータ処理にとどまらず、企業ごとにオーダーメイドで設計されたナレッジデータベースを構築し、異なる部署間でも一元的な知見の共有を実現する。
この仕組みにより、社内の情報資産が部門を超えて活用され、組織全体の意思決定を加速させる効果が見込めるという。
導入企業の拡がりと今後の展望
AI Central Voiceはすでに、TENTIAL、あいおいニッセイ同和損保、オープンハウス・アーキテクト、日本空港ビルデングといった各業界の大手企業で導入が進んでいる。
これらの企業は、顧客対応や従業員エンゲージメント向上、業務効率化などの課題に対し、AIを活用して新たな打ち手を得る手段として本サービスを選択しているとみられる。
市場では、定量データに比べ分析が難しいとされてきたフィードバックや日報などの情報資産を、いかに実務に役立てるかが課題となってきた。AI Central Voiceは、そのギャップを埋める存在として期待が寄せられている。
ただし、データプライバシーやセキュリティの観点で、情報の扱いに対する透明性や説明責任が問われる場面も増えるだろう。
特に、個人情報や機密情報を含む非構造化データを扱う場合は、ガバナンスの強化が並行して求められるはずだ。
テックタッチは今後、2025年内にモデルを拡充し、AIが対応すべき課題を伝える「ナレッジDB連携AIチャット」をリリースする予定だという。
AI活用が進む中、企業のデータ戦略における柔軟性と対応力を高める選択肢の一つとして、本サービスがどのように浸透していくかが注目される。
※非構造化データ:文章や画像など、形式が決まっておらずデータベースでの扱いが難しい情報形式。AIによる整理・分析が進むことで利活用が拡大している。