大阪・関西万博でトークン化カーボンクレジットを活用したオフセットサービスを提供

KlimaDAO JAPANは2025年4月23日、ティー・エヌ・プラン、PBADAO、JE FORESTと共同で、開催中の大阪・関西万博会場において、グリーン燃料発電システムを活用した電力供給および、トークン化カーボンクレジットを活用したオフセットサービスを提供すると発表した。
万博のカーボンニュートラル構想を支えるWeb3技術の実装
2025年の大阪・関西万博において、ブロックチェーンを基盤とした温室効果ガスのオフセットサービスとグリーン燃料による電力供給が始動する。
提供を行うのは、気候変動対策を推進するKlimaDAO JAPANと、再生可能エネルギーや分散型技術に強みを持つティー・エヌ・プラン、PBADAO、JE FORESTの計4者である。
本プロジェクトでは、イベント運営などで排出される温室効果ガスを相殺するための「トークン化カーボンクレジット(※)」が導入される。
このクレジットはERC-20トークンとしてパブリックブロックチェーン上に発行され、取引履歴はスマートコントラクト「Carbonmark API」によって自動処理される。
この仕組みによって、クレジットの真正性や取引の透明性が担保されるとともに、オフセットの即時性と信頼性が向上する。
この仕組みは、すでに国内でJ-クレジットのトークン化実証が進められており、その成果として「Japan Financial Innovation Award 2025」を受賞している。
第一弾の導入先として決定したのは、会場内で開催予定の国際パン職人コンクール『第5回 ベスト・オブ・モンディアル・デュ・パン』である。
多くの電力を消費する本イベントにおいて、グリーン発電とオフセットの仕組みを組み合わせることで、カーボンニュートラルな運営が目指されている。
※カーボンクレジット:温室効果ガスの排出削減または吸収量を「1トンのCO2」に換算し、取引可能な形にした証明書。再生可能エネルギー導入や森林保全などによって創出される。
環境と経済の両立を図るブロックチェーン活用、社会実装への布石となるか
今回の取り組みは、カーボンニュートラルという世界的な目標のもと、環境負荷の削減と技術革新の両立を図る挑戦とも言える。
ブロックチェーンの透明性と即時性、スマートコントラクトによる自動化処理は、煩雑なクレジット取引をシンプルかつ信頼性の高いものに変える可能性を秘めている。
また、Web3関連技術を軸とするこのスキームは、これまでの炭素取引市場の課題であった「クレジットのトレーサビリティ不足」や「運用コストの高さ」を大きく改善しうる。
イベント主催者にとっても、環境配慮の姿勢を示す手段として価値があり、ブランドイメージの向上にもつながると見られる。
一方で、グリーン燃料の供給体制やカーボントークンの流通性といった点では、今後のインフラ整備や制度設計が成否を分ける鍵となるだろう。
大阪・関西万博を契機に、国内外の他イベントや自治体への波及が実現すれば、Web3と気候変動対策の融合が加速する可能性もある。