AIエージェントによって企業の意思決定を支援 クニエ、SCM/XP&Aの支援サービスを開始

2025年4月23日、株式会社クニエ(日本)は、AIエージェントを活用したSCM(サプライチェーンマネジメント※1)/XP&A(拡張計画・分析 ※2)導入支援サービスの提供を正式に開始した。
Google Cloudの先端技術を駆使し、企業のサプライチェーン計画立案と修正を自動化・効率化するものである。
不確実な時代におけるサプライチェーン計画
近年、パンデミックや自然災害、地政学的リスクなど、予測不能な外的要因がサプライチェーン全体に及ぼす影響は無視できなくなっている。
特に調達・生産・物流の各段階において、即応性と柔軟性が企業の競争力を左右している。
こうした背景を受け、クニエはGoogle GeminiをはじめとするGoogle Cloudの各種AI・データ分析技術を活用し、計画立案の迅速化と柔軟化を実現する仕組みの提供を開始した。
AIエージェントとの対話を通じて、変化の兆候を早期に察知し、即座にリカバリープランを自動で立案する。
加えて、外部データを取り込むことで、気象や相場の変動といったマクロな要因も反映した高精度な判断が可能になる。
データ分析の中核には、BigQueryとCortex Frameworkが据えられている。
ERPやSFAとのノーコード連携により、複雑な業務データをリアルタイムに可視化し、意思決定に寄与する。
さらに、Lookerによるダッシュボード表示により、計画と実績の差異が直感的に把握できる環境が整えられている。
※1 SCM(サプライチェーンマネジメント):
原材料の調達から製品の生産・出荷・販売まで、企業の物流や在庫管理などの全体最適を図る経営手法。
※2 XP&A:
従来の財務計画に限らず、販売や人事など広範な業務計画と分析を統合的に行うアプローチ。
今後の展開と導入企業にもたらす効果
導入によって最も顕著な効果として期待されるのは、計画立案・修正のスピードと精度の向上だろう。
従来は数日を要したリカバリープランの策定が、AIによって短時間で実行可能となることで、人的リソースの大幅な節約につながると思われる。
さらに、データに裏付けられた判断が意思決定を支え、社内各部門の連携強化も進むだろう。
また、AIの判断基盤としてVertex AIが実績データと外部データを統合的に分析し、原材料の需給バランスや原価の変動を予測することで、計画の実効性を高めている。
イベントの発生をGeminiが検知し、即時に影響シナリオを提示する機能は、リスク管理にも有効だろう。
ただ、Google Cloud依存型のアーキテクチャである以上、コストの継続性やデータの主権問題は無視できない。
特に、外部データの取り込みが前提となる以上、データの質や偏りが意思決定に悪影響を及ぼす危険性を認識して使用する必要があるだろう。
今後、このようなAI主導型のSCM・XP&A支援は、特にグローバル企業を中心に加速度的に拡大していくと見られる。
一方で、こうしたAIによる意思決定の高度化は、説明責任の所在やアルゴリズムバイアスへの懸念を同時に呼び起こす。
今後は、AIによる提案がどのような根拠に基づいているのかを明示する「透明性」や「説明可能性」が求められるようになっていくだろう。