“孤独に寄り添うおでん”がAIと融合 天神屋、LINEで健康相談可能な「ウェルモン」開始

2025年4月22日、静岡市の天神屋は、AIチャットサービス「ウェルモン」の提供を開始した。おでんキャラクターを通じて心身の悩みに寄り添う本サービスは、LINE上で24時間無料対応し、孤独・孤立対策として注目されている国内発の新たな試みである。
おでんが寄り添う、AIが応える “孤独解消”を目的としたチャットサービス「ウェルモン」
静岡市の老舗弁当・総菜販売店である天神屋は、2025年4月22日よりAIチャットサービス「ウェルモン」の提供を開始した。
ユニークなのは、AIキャラクターとして登場するのが、おでんをモデルにした“モンスター”たちである点だ。利用者はまずLINE上で「ウェルモン」を友達登録し、診断テストに回答する。性格に応じた5種類のキャラクターの中から1体がマッチングされ、以降はそのキャラクターが相談相手となる。
たとえば、「最近疲れている」と入力すれば、「温かい味噌汁を飲んでリラックスしてみて」といったアドバイスが返ってくる仕組みだ。
こうしたやり取りは、あくまで親しみやすく、かつ具体的な健康提案として機能している。対応時間は24時間、費用は完全無料で、手軽に利用できる点も魅力である。
このサービスは、2024年4月に施行された「孤独・孤立対策推進法(※)」の流れを受けた取り組みであると考えられる。特に単身生活者や高齢者、育児中の保護者層の支援を想定しているとみられる。
社会との接点が減少しやすい層に対し、AIによる継続的なコミュニケーションを通じて孤独感の軽減を目指しているのが最大のポイントだ。
※孤独・孤立対策推進法:政府が定めた基本方針に基づき、自治体や民間団体と連携し、孤独・孤立に苦しむ人々への支援を強化する法律。
AIとキャラクターの融合で生まれる新たな接点 企業の狙いと今後の可能性
今回の取り組みには、単なるAI活用の枠を超えた“感情へのアプローチ”が組み込まれている点が注目に値する。
天神屋の岡えり社長は、「誰もが自分のペースで、気軽に健康と向き合える環境を整えたい」と語っており、非対面であることが心理的障壁を下げ、利用者の本音を引き出す鍵になると見ている。
また、AIモンスターが利用者の会話傾向や入力内容を学習し、よりパーソナライズされた応答を行う仕様は、時間の経過とともに“対話の質”が高まる設計となっている。これは、単なるチャットボットではなく、ユーザーにとって“話しかけたくなる存在”として進化する可能性を持つ。
キャラクターが持つエンタメ性はSNSとの親和性が高く、サービスの認知拡大にも寄与できると考えられる。マーケティング面での副次的効果も大きいだろう。
今後は、ユーザーの食習慣や生活リズムをさらに深掘りし、健康提案の質を向上させる予定だという。
食品販売を本業とする天神屋にとって、本サービスは自社商材との連携を図る“ヘルスケア×フード”戦略の一端でもあるが、単なる販促ツールにとどまらない社会的価値を帯び始めていると考えられる。
ウェルモン公式
https://wellmon.jp/tenjinya