Instagram、AI搭載の動画編集アプリ「Edits」をリリース 高機能で無料提供、競争激化の動画市場へ本格参入

米Meta傘下のInstagramは2025年4月22日(現地時間)、無料の動画編集アプリ「Edits」を一般公開した。AIによる動画生成機能も備え、クリエイターが最大10分の高解像度コンテンツを手軽に制作できる点が特徴である。
Instagramが狙う次世代クリエイター層 高性能な「Edits」の機能と特徴
今年1月にMetaが開発を発表した「Edits」は、Instagramが展開する新たなクリエイティブツールとして、世界中のiOSおよびAndroidユーザーに向けて提供している。
本アプリは、撮影した動画に音楽やテキスト、音声、フィルター、ステッカーなどを追加し、最大10分までの動画を自在に編集できる設計となっている。
特筆すべきは、AIによる静止画のアニメーション化機能だ。ユーザーが自ら動画を撮影しなくても、静止画に動きをつけて動画クリップに変換することができる。
また、グリーンスクリーンがなくても、AIが被写体を自動判別して背景の切り抜きや置き換えができる機能も搭載している。
音声編集機能では、挿入する音声をクリアに整え、周囲のノイズを自動で抑える仕様となっており、屋外での撮影や環境音の多いシーンでも安心して使用可能だという。
さらに、トランジション、クリップレベルの編集、自動強化といった多彩なエフェクトが利用でき、表現の幅を大きく広げる。
動画の出力は1080pを標準とし、アプリ内で撮影する場合は最大2K、60fps、HDR対応という高いスペックを誇る。
完成した動画にはウォーターマークが付かないため、他のプラットフォームでの利用にも支障がない。
将来的にはAIエフェクト機能の追加が計画されており、よりプロフェッショナルな編集ニーズにも応えようとしている。
AI機能搭載で動画編集のハードルを下げる「Edits」の可能性
Editsの投入は、動画編集アプリ市場で先行するTikTokやCapCutといった競合サービスに対抗する動きと見られている。
特に、Instagramは本アプリを「あらゆるプラットフォームで自分を表現するためのツール」と位置付けており、囲い込み戦略から一歩踏み出した意図を感じさせる。
クリエイターがほかのプラットフォームでも活用できる仕様とすることで、利用者層の拡大を図る狙いがあるとみられる。
EditsはAI機能の搭載により、ユーザーにとって非常に便利なツールとなるだろう。
特にAIによる静止画のアニメーション化機能や背景の自動切り抜き・置き換え機能は、専門的な知識がなくても質の高いコンテンツを手軽に制作できる点が大きな強みと言える。
これにより、クリエイターは時間と労力を大幅に削減でき、編集のハードルを下げることができる。
一方で、AI機能を搭載していることで、ユーザーが完全にAIに頼りすぎてしまう懸念もある。AIが提供する編集機能のクオリティは、クリエイターの経験やスキルに依存する部分があるため、誰もが満足する仕上がりにはならない可能性もある。