SEC新委員長にポール・アトキンス就任 アルトコインETF承認に現実味

2025年4月21日、米証券取引委員会(SEC)は、ポール・アトキンス氏の委員長就任を正式に発表した。
暗号資産に友好的な姿勢で知られるアトキンス氏のリーダーシップにより、XRPやドージコインといったアルトコインETFの審査が加速する可能性が高まっている。
アトキンス氏の就任がSECの姿勢に転換をもたらすか アルトコインETF審査の加速が現実味を帯びる
ポール・アトキンス氏の委員長就任は、暗号資産市場にとって大きな転換点になりうるものだ。
ブッシュ政権下で2002年から2008年までSEC委員を務めた経歴を持つアトキンス氏は、その後、パトマック・グローバル・パートナーズを設立し、金融機関や暗号資産関連企業にコンサルティングを提供してきた。
特にDeFi(※1)プラットフォームとの関わりも深く、デジタル資産に対する理解と経験を兼ね備えている。
今回の就任に際してアトキンス氏は、「資本形成を促進し、公正で効率的な市場を維持し、投資家を保護する」ことを明言し、その手段として「仮想通貨に対して合理的で一貫性のある規制枠組みの構築」を掲げている。
この方針は、前任のゲイリー・ゲンスラー氏が取っていた厳格かつ硬直的な姿勢とは明確に一線を画しており、暗号資産分野における柔軟な対応が今後期待される。
実際に、就任直前にはSECがグレースケールによるXRPおよびドージコインのETF(※2)申請を正式に受理しており、これまで見送られてきたアルトコイン関連のETFに対する審査が動き出した状況にある。
これらの動きから、SECが硬直的な姿勢から転換しつつある様子がうかがえる。
※1 DeFi(分散型金融):中央管理者を介さず、ブロックチェーン技術を用いて金融サービスを提供するシステムのこと。
※2 ETF(上場投資信託)…証券取引所に上場している投資信託で、株式と同様にリアルタイムで売買できる金融商品。暗号資産ETFは、ビットコインなどのデジタル資産を対象としたETFのこと。
業界内に広がる期待 新体制がもたらす可能性と不確実性
アトキンス氏の就任により、暗号資産に関する明確かつ合意可能な規制枠組みの確立に対する期待が、業界関係者の間で高まっているようだ。
長年不透明であった暗号資産の法的位置づけが改善され、より多くの機関投資家が市場参入に前向きになると予想できる。
一方で、慎重な見方も根強く残るだろう。
ETF承認の審査は、依然としてSEC内部での調整や政治的圧力の影響を受けやすく、実際に承認が下りるまでには時間を要する可能性もある。加えて、今後の政権交代や金融政策の変動によって、アトキンス氏の方針が継続できるかは不透明な側面も残る。それでも、現時点ではSECの新体制がこれまでの閉塞感を打破し、新たな動きを市場にもたらしていることは間違いない。
XRPやドージコインなど、特定のアルトコインへの注目が高まる中、ETF承認が現実となれば、市場の流動性と信頼性が大きく向上する可能性もあるだろう。