モノバンドル、分散型PRサービス「PRwi.re」のベータ版公開

2025年4月21日、モノバンドルは分散型プレスリリース配信サービス「PRwi.re(ピーアールワイヤー)」のベータ版をローンチすると発表した。
分散型ネットワークを活用した新サービスで、情報の永続性と検閲耐性を備え、企業広報の新たなスタンダードを提示している。
PRwi.reの分散型メディアとしての特徴
モノバンドルが新たに発表した「PRwi.re」は、企業や団体が発信するプレスリリースを分散型ファイルストレージネットワーク「IPFS(InterPlanetary File System)(※)」上で公開・保存するサービスだ。
IPFSの技術により、公開された情報はネットワーク上に分散して保存され、一度アップロードされれば基本的に改変・削除が不可能になる。
この特性が「永続性」を担保し、情報改ざんや削除といった操作から保護されるメカニズムを構築している。
加えて、分散型アーキテクチャにより、特定のサーバー障害が情報のアクセス性に影響を与えることがない。
耐障害性が高いため、社会的に重要な発表が安定して届けられるというメリットがある。
こうした信頼性の高さは、報道機関だけでなく、危機管理が求められる広報戦略においても強力なアドバンテージとなるだろう。
PRwi.reには無料と有料の2つのプランが用意されており、無料プランでは月1回の配信、有料では無制限に配信できる。
その他、自動RSSフィードの生成、投稿スケジュール設定、公開済みコンテンツの編集、アクセス解析など、従来のCMSに匹敵する機能も搭載されている。
※IPFS(InterPlanetary File System):
従来のHTTPのようなサーバーベースではなく、ファイルの内容を基に生成された一意のハッシュ値を使ってデータを取得する分散型ファイルシステム。特定のノードに依存せず、冗長性と耐障害性を備える。
グローバル対応と業界の期待
PRwi.reは現在、サービス開始を記念してすべての機能を無料で開放している。
将来的にはユーザー数の増加に伴い、有料プランの拡充や多言語対応、自動翻訳機能の追加など、よりグローバルな情報流通を想定した開発も進められているという。
PRwi.reの情報の永続性と検閲耐性や耐障害性といった特性は、従来の中央集権的な配信サービスとは一線を画する特徴である。
特に報道機関やNGOなど、透明性と信頼性が求められる組織にとっては、有力な選択肢となるだろう。
一方で、IPFSの特性ゆえに、一度公開された情報の「削除」が原則として不可能である点は、誤報や機密情報の流出に対してリスクがある。
従来の編集・削除可能なシステムに慣れたユーザーには、リスク管理の再設計が求められるだろう。
PRwi.reが提案する「検閲に強く、永続するプレスリリース」のモデルは、情報操作や報道統制が問題となる地域や状況下で、注目を集める可能性がある。
また、Web3技術のメディア方向への応用例の一つとして、モデルケースとなることも期待できる。
今後どういった利用をされていくのか、引き続き注目したい。