アルトコイン市場の復調は規制改善とビットコイン次第?Sygnum分析

スイスの暗号資産銀行Sygnumが2025年4月17日(スイス時間)に発表したレポートによれば、アルトコイン市場は2025年第2四半期に回復の兆しを見せる可能性があるという。海外市場を中心としたこの動きは、日本国内の投資家にも影響を与える展開になりそうだ。
アルトコイン市場に回復の兆しをもたらす理由
ビットコインの市場シェアは過去4年で最高水準に達しており、安全資産としての性質が改めて注目されている。
特に、マクロ経済の不確実性が続く中、米財務長官やブラックロックCEOなどがビットコインの価値保存機能を評価する発言をしており、これが市場ドミナンス上昇の一因とみられる。
一方、アルトコイン市場にも変化が見られる。Sygnumは、仮想通貨のユースケースに関連する規制が世界的に明確化されつつあり、それがアルトコイン市場の反発基盤を形成する要因になると分析している。特にアジア圏や欧州で進む法整備が、プロジェクト側の開発意欲を後押ししているとされる。
イーサリアムはレイヤー2(※1)のBaseやOptimismと連携し、ブロックチェーン上の流動性を一元化する動きを強めている。これにより、ユーザー体験の向上と取引効率化が見込まれており、長期的にはネットワーク価値の向上につながる可能性がある。
ただし、この統合は短期的な収益を犠牲にしている側面もあるため、持続性には注視が必要だ。
ソラナについては、2025年1月のピーク以降、日次収益が99%減少するという厳しい状況にある。ミームコインブーム崩壊の影響を受け、収益構造の脆弱性が浮き彫りになった形だ。
これまでの成長を支えていた話題性や短期資金が離れ、今後はより実用的なユースケースへの移行が求められる局面にあると言える。
ステーブルコイン増加と規制進展が示す、2025年第2四半期の新たなシナリオ
資産運用会社Bitwiseのレポートによると、2025年第1四半期はビットコインやイーサリアムの下落により、仮想通貨市場全体が「もどかしい」期間だったという。
ただし、ステーブルコインの運用資産は過去最高を更新し、取引量も増加しており、市場内部では一定の資金流入と活性化の兆しがあると読み取れる。
この動きは、価格の乱高下に対する投資家のリスク回避行動とともに、トークンエコノミーが実用フェーズに入ってきていることを示唆している。特に、実物資産のトークン化やクロスチェーン(※2)連携の進展は、仮想通貨が投機対象からインフラへと変容しつつある証左と言える。
一方で、過去のバブル期に依存したプロジェクトや、明確な収益構造を持たないトークンは、市場の淘汰圧力にさらされることになるだろう。こうした状況を受けて、今後は技術革新と規制対応の両立がプロジェクトに求められるフェーズに突入していくと考えられる。
Sygnumが提示するように、2025年第2四半期は「選別の始まり」ともいえる時期になる可能性がある。価格上昇以上に、価値のあるプロジェクトが評価される市場への転換が、ここから本格的に始まるのではないだろうか。
※1 レイヤー2:イーサリアムなどのメインチェーンとは別に構築される補助的なネットワーク。スケーラビリティや手数料の問題を解決するために使用される。
※2 クロスチェーン:異なるブロックチェーン間で資産やデータをやり取り可能にする技術。ブロックチェーンの分断を解消し、相互運用性を高める目的で開発されている。