東北電力とエクサウィザーズ、地域企業に業務特化型AIソリューションを提供

AIベンチャーのエクサウィザーズは2025年4月18日、同社が提供する法人向けChatGPTサービス「exaBase 生成AI」の販売および導入・活用の支援、業務特化のAIソリューションを東北電力が提供すると発表した。
東北6県および新潟県をはじめとした地域企業を対象に、業務効率化と人手不足の解消を支援する。

地域に根ざしたAI活用で、業務効率化と人手不足解消を図る新たな支援策

今回の発表は、2024年8月に東北電力とエクサウィザーズが業務提携を結んだことを契機に生まれた第1弾の施策である。提携の主眼は、地域企業が抱える慢性的な人手不足や非効率な業務プロセスをテクノロジーの力で打破する点にある。

具体的には、エクサウィザーズが展開する生成AIプラットフォーム「exaBase 生成AI」を、東北電力が販売代理店として提供する。これにより、専門的な技術や知識がなくとも企業がAIを導入しやすい環境が整う。

加えて、製造現場や営業活動など、企業ごとの業務課題に応じてカスタマイズされたAIソリューションの開発も進められている。
製造現場では、部品の画像分析により不具合の早期発見を可能にし、物流や人流の最適化を図るソリューションを想定している。
一方、販売業務においては、報告書の自動作成や営業タスクの管理支援といった具体的な効率化策が提供される見通しだ。

こうしたソリューションは、単なる作業の自動化にとどまらず、人的リソースの最適配分や、より戦略的な業務への集中を可能にするものである。

導入しやすさと実務直結の設計で、地域発のAI活用モデルとなるか

今回の取り組みが注目される理由の一つは、AI導入のハードルを下げる工夫が随所に見られる点である。特に地方の中小企業にとって、AIの導入は専門知識や初期コストの面で障壁となることが多いが、exaBaseの導入支援と代理店体制により、その負担は大幅に軽減されるだろう。

加えて、AIの機能が単なる汎用型ではなく、実務に即した特化型である点も大きい。製造、営業といった現場の具体的な課題に合わせた設計は、導入後の即効性を高め、企業側の投資対効果を実感しやすくする。
これは、これまでAI導入に慎重だった企業にとっても判断材料となり得る。

一方で、AI技術の進化は急速であるため、導入後には定期的なアップデートやメンテナンスが求められることが避けられない。
これにより、企業は新たなコストやリソースを割かなければならず、特に中小企業にとっては負担となる可能性があるため、注意する必要がある。

今後は、今回の施策を通じて得た知見を基に、他地域への展開や、より多様な業種への拡張も視野に入る可能性がある。
地域密着型のエネルギー企業と、最先端技術を有するスタートアップの連携による「地方からのイノベーションモデル」が、全国的な広がりを見せる可能性も十分にある。