宮崎国際音楽祭×東京藝術大学、AI技術を活用した「四季」公演　5月10日開催

2025年5月10日に宮崎県で開催される「第30回宮崎国際音楽祭」において、「宮崎国際音楽祭×東京藝術大学『四季』〜AIによる音楽と映像の共演」が公演予定であると、4月17日に報じられた。

クラシックの再構築に挑む、東京藝術大学×宮崎国際音楽祭の先端コラボレーション

宮崎国際音楽祭は、1996年の初開催以来、国内外の一流音楽家を招き、地域文化の発展と国際交流を推進してきた。30回目を迎える今回は、単なる記念事業にとどまらず、次世代の芸術表現を模索する試みとして、東京藝術大学との連携プログラムが実施される。

この公演では、バロック音楽の名作ヴィヴァルディの『四季』を題材に、AI技術を用いた映像演出が行われるという。

演奏に合わせて、『四季』をテーマにしたアニメーション映像がリアルタイムで展開される。AIによる「映像同期上映システム」を活用して生演奏のテンポや強弱と連動する映像が上映される仕組みである。

映像同期上映システムは、音楽の進行に応じて、あらかじめ学習させた映像素材の中から最適なシーンを選び出し、リアルタイムで組み合わせて表示する技術だ。
従来の映像付きクラシック公演とは異なり、演奏ごとに異なる表現が生まれるという点が最大の特長といえる。

AIと芸術がもたらす「未体験ゾーン」　観客が体験する未来型クラシックとは

AIとの協働による演出は、単なる視覚的な装飾にとどまらず、演奏者の表現と相互に作用し合うことで、観客に深い没入体験を提供する。

今回の試みは、AIがクラシック音楽に対して果たしうる役割を再定義するものでもある。演奏者が生む一回性の音楽を、AIが映像というもうひとつの言語で解釈し、即時的に提示する構造は、まさにリアルタイムの共同創作に近い。

テクノロジーの進化と芸術の融合が、観客にとっての“音楽を観る”という新しい感覚を呼び起こすことが期待される。

クラシック音楽に馴染みのない層にとっても、映像とAIを介したこの企画は「体験してみたい」と思わせる魅力を持つ。

文化とテクノロジーが交差する本プロジェクトが、今後の芸術表現にどのような影響を及ぼしていくか注目される。