楽天ペイ、AI活用で保険サービス開始へ 個人に最適化された保険商品を提供

2025年4月17日、楽天ペイメントと楽天少額短期保険は、スマートフォン決済サービス「楽天ペイ」上で保険商品の提供を開始することが明らかになった。
サービス開始は2025年6月を予定しており、AIを活用してユーザーの行動データを分析し、個々のニーズに応じた保険商品を提案する仕組みだ。
AIによる個別最適化と簡便な手続きで保険加入を革新
楽天ペイメントと楽天少額短期保険は、2025年6月から「楽天ペイ」アプリ内で保険商品の提供を開始する予定である。
この新サービスでは、ユーザーの支払い履歴や行動データをAIが分析し、その時々に必要とされる保険商品を提案する。
たとえば、気温が高い地域にいるユーザーには熱中症保険を勧めるなど、個別のニーズに応じた提案が行われる。
契約手続きも簡素化されており、ユーザーは保険商品のアイコンをタップし、数回の操作で契約を完了できる設計となっている。
提供される保険商品は、既存のものではなく、楽天ペイに特化した専用の保険商品が用意される。
サービス開始時には2種類の保険からスタートし、徐々にラインアップを拡充する予定だ。
また、楽天ペイの提携店舗との連携を視野に入れ、利用者の共通ニーズを満たすカスタマイズ商品を提供することを目指している。
楽天ペイメントは、楽天ペイを金融サービスの入口として強化する方針を示しており、すでに楽天ポイントカードアプリとの統合も決定している。
今回の保険サービスの導入により、楽天経済圏との連携がさらに強化される見通しだ。
将来的には、楽天生命や楽天損保の商品との連携も計画されており、より多様な金融サービスの提供が可能になると考えられる。
楽天少額短期保険の岡村匡純執行役員は、「楽天ペイを入口とするのは初めて。楽天IDを持つユーザーに直接、発信できる」と市場の拡大に期待を寄せている。
楽天経済圏との連携強化と今後の展望
楽天ペイによる保険サービスの提供開始は、スマホ決済と金融商品の融合が本格化する兆しと見ることもできる。
特に注目すべきは、AIを活用した保険提案というアプローチである。
従来の保険販売が「自ら選びにいく」ものであったのに対し、今回のサービスは「生活の中に溶け込んでくる」保険という新しい価値提案を示している。
この方向性は、ユーザー体験の抜本的な転換を促す起点となるだろう。
さらに、楽天経済圏全体との連携を見据えた展開である点も重要である。
楽天ペイを起点に、楽天カード、楽天証券、楽天銀行、楽天生命などとのクロスセルが実現すれば、グループ全体の金融基盤はより強固なものとなるだろう。
特に、楽天IDとポイントを軸としたデータ統合が進めば、金融行動に基づくより精緻なリスク評価と保険設計が可能になると考えられる。
一方で、ユーザーの個人データをもとに保険提案が行われるという点では、プライバシーや情報の透明性への懸念が高まる可能性も否定できない。
AIによるレコメンド精度を維持しつつ、ユーザーに安心感を与える情報開示と説明責任が求められる局面が、今後増えていくことだろう。