東京書籍の次世代学習サービス「教科書AIワカル」が提供開始 生成AIとの対話で深い学びを実現

東京書籍は、AI対話型学習サービス「教科書AIワカル」をリリースした。2025年4月17日、同サービスに活用されているノーコード生成AIプラットフォーム「altBrain(オルツブレイン)」を開発・提供するオルツが発表した。
今回のリリースでは、アーリーアクセス版として、中学英語教科書「NEW HORIZON」に対応した体験版が公開されている。
AIとの「対話」で深い理解を促す、新たな学習体験
「教科書AIワカル」は、東京書籍が発行する教科書の内容に準拠し、学習者一人ひとりの理解度や学習ペースに合わせて出題や解説を生成する仕組みを備える。
例えば、ユーザーが「この文法をもっと練習したい」と入力すれば、該当単元に基づいた演習問題や解説がリアルタイムで提示される。
加えて、AIとの双方向対話を通じて進行する授業形式のレッスンも備えている。AIが投げかけた「問い」に学習者が「答え」を繰り返す形式となっており、学習者の主体的な思考力と深い理解を促進する。
安全性にも配慮されており、本サービスでは学習に不要な出力を防ぐようAIが最適化されているほか、ユーザーの入力データが再学習に用いられることはない。教育現場での導入を前提とした堅実な設計がなされていると言える。
技術的な基盤としては、AIスタートアップのオルツが提供するノーコード生成AIプラットフォーム「altBrain」が活用されている。
AI教育サービスの進化と、拡張される未来像
今回の体験版公開は中学英語に限定されているが、東京書籍は今後、小学校や高等学校の教科書にも順次対応範囲を広げていく方針を示している。
また、音声入力・音声出力といった新機能の追加も計画されており、スマートスピーカーやタブレット端末を通じた音声対話型の学習環境も現実味を帯びてきた。
このようなサービスの展開は、教育分野におけるAIの役割を、単なる自動化や補助から学習体験の「再設計」へと押し上げることにつながる。
AIが一人ひとりの学習履歴や理解度を踏まえた問題生成を行うことで、教員の手が届きにくい部分までサポートが可能になる。
今後、教育業界での人手不足対策や、学習成果の最大化に資する可能性は高いと言えよう。
一方で、教育現場では依然として「人間による指導とのバランス」や「AIへの過信」に対する慎重な意見も根強い。
競合各社もAI教材の開発を加速させており、今後は「誰が、どのような思想でAIを教育に組み込むか」が問われるフェーズに入っていくと見られる。
教科書AIワカル:https://kyoukasho-ai.tokyo-shoseki.co.jp/
オルツのニュースリリース:https://alt.ai/news/8724/