山口県・下松中央病院が内視鏡AIを導入　胃がん早期発見の新たな一手

2025年4月1日、山口県下松市の下松中央病院がAI技術を活用した内視鏡画像診断支援ソフトウェア「gastroAI model-G」を導入することを発表した。
これは、胃がんの早期発見をサポートする新技術であり、地域医療の質を大きく高める可能性がある。

AI技術が支える内視鏡診断の変革　胃がん早期発見の新体制

胃がんは日本国内における主要な死亡原因のひとつとして知られている。
早期発見された場合の生存率は極めて高く、定期的な内視鏡検査がその鍵を握る。しかしながら従来の内視鏡検査は医師の経験やスキルに強く依存しており、病変の見逃しという課題を抱えていた。
こうした現場の声を受け、下松中央病院では2025年4月にAI技術を搭載した「gastroAI model-G」の導入に踏み切った。

このソフトウェアは内視鏡画像から病変を自動検出する機能を持ち、熟練医の目に頼っていた従来の診断精度を補完することができる。
AIが異常箇所を指摘することで医師は診断の判断材料を増やすことが可能となり、特に微細な早期病変の見落としリスクを大幅に減らせるとされる。また、医師にとっては検査時の集中負荷が軽減されるメリットも大きく、より多くの患者に質の高い医療を提供できる体制が整いつつある。

同病院は、「より質を高める取り組みを続け、これまで以上に地域医療に貢献していきたい」と話しており、AI技術の革新が地域医療の質と信頼を新たな段階へと押し上げようとしていることが窺える。

医療×AIの未来像　地域から広がる技術活用の波

下松中央病院の今回のAI導入は、地方都市の病院でも先端技術を取り入れることで地域医療の限界を打破できるという好例となりうるだろう。
都市部に比べ専門医の数が限られる地域では、診断のばらつきや医師の過重労働といった課題が根強い。そうした環境においてAIによる支援は極めて実用的な解決策として機能し始めている。

また、AI導入は単に精度向上に留まらず、医師の教育にも好影響を与えると考えられている。若手医師がAIの補助を得ることでより実践的な学習機会が得られ、長期的には人的リソースの強化にもつながる可能性があるだろう。
今後は、AI技術のアップデートとともに肺や大腸といった他の部位への応用が視野に入っており、医療全体のデジタルトランスフォーメーションが加速していくと見られる。

現時点ではAIが完全に医師の判断を代替するものではないが、判断を補佐する存在としてはすでに十分な実力を発揮している。患者にとっても、見逃しの少ない安心な検査が身近な病院で受けられることは大きな安心材料となるはずだ。
今後、こうした事例が全国の医療機関に波及していくことを期待したい。