IntelがAlteraの過半数株を売却、FPGA事業の新たなフェーズへ

2025年4月14日、米IntelがFPGA事業を担うAlteraの過半数株式を、投資会社Silver Lakeに売却すると発表した。売却額は87億5,000万ドルにのぼり、業界再編が加速する象徴的な動きとなった。
焦点を絞るIntel、Altera売却でFPGA事業の柔軟化と資本戦略を両立
米国時間2025年4月14日、Intelは自社傘下でFPGA(※)製品を展開してきたAlteraの株式51%をSilver Lakeに売却すると正式に公表した。
評価額は87億5,000万ドル(約1兆2,500億円)で、取引完了は2025年下半期と見込まれている。Intelは引き続き49%を保有する方針であり、完全な手放しではなく成長機会への関与を維持する構えだ。
Alteraは1983年創業の老舗企業で、FPGA分野のパイオニアとして広く知られている。2015年にIntelにより167億ドルで買収され、その後はProgrammable Solutions Group(PSG)として事業を展開してきたが、2024年1月には社内分社化によって独立体制へと再編された経緯がある。
今回の売却について、IntelのCEOであるPat Gelsinger氏は「戦略的焦点を明確にし、コスト構造の見直しとバランスシートの強化を図る」と説明しており、リソースの最適化が主眼に置かれていることがうかがえる。
※FPGA(Field Programmable Gate Array):用途に応じて構成を変更できる半導体チップで、AI、データセンター、通信分野などで高い柔軟性が求められる用途に活用されている。
Alteraの新体制と業界への波紋、独立による成長機運に注目集まる
2025年5月5日には、Alteraの新たなCEOとしてMarvell出身のRaghib Hussain氏が就任する予定だ。Hussain氏はMarvellにおいて製品開発と戦略構築の両面で実績を持ち、技術力と市場対応力を兼ね備えたリーダーとして期待されている。
Alteraが再び独立した企業として舵を取るにあたり、その手腕が鍵を握るのは間違いないだろう。
FPGA市場はAI処理やクラウドコンピューティングの広がりにより急成長を続けている。Xilinx(現AMD傘下)やLattice Semiconductorなど競合も強力な中、Alteraの今後の成長戦略には注目が集まる。
特に、独立企業として迅速な意思決定が可能になることは、市場環境の変化に柔軟に対応する上で大きな利点となるだろう。
一方でIntelは、自社の注力領域であるAIアクセラレータや先進プロセッサ開発に経営資源を集中させることで、競争力の強化を図るようだ。
Altera売却はその戦略転換の一環であり、全体としては選択と集中による成長加速を目指す動きと位置づけられる。
今後のパートナーシップ展開や新製品の投入次第では、業界勢力図に新たな変化が生じる可能性もある。Alteraの市場での再ポジショニングがどこまで成果を上げられるか、注目したい。