Lime、首都高誤進入防止へ「ジオフェンシング」導入　電動キックボードの安全対策を強化

日本で電動マイクロモビリティを展開するLimeは、首都高速道路への誤進入を防止するため、ジオフェンシング技術の導入を開始したと2025年4月11日に発表した。

GPS活用の仮想境界線で誤進入を防止　都市型モビリティの新たな安全網

電動キックボードのシェアリングサービスを手がけるLimeは、首都高速道路への誤進入を防ぐため、ジオフェンシング技術の試験導入を開始した。
ジオフェンシングは、GPSの位置情報を活用して地図上に仮想の境界線を設定し、対象車両がその境界線付近に差し掛かると自動で速度制御を行う仕組みだ。これにより利用者が首都高の出入口へ誤って進入するのを防ぐことが狙いである。

この取り組みは、他社車両が首都高へ誤って進入する事例が相次いだことをきっかけに動き出した。特に、渋谷、新宿、池袋といった繁華街は、一般道と高速の出入口が隣接しており、慣れない利用者にとって判断を誤りやすい環境が続いてきた。
Limeは警視庁や首都高速道路株式会社の助言をもとに、ジオフェンシングの精度を段階的に高める方針だ。

なお、Limeはすでに代々木公園や皇居周辺、明治神宮といった都市部の重要エリアでも走行制限を実施してきた。今回のジオフェンシング導入は、利用者の安全確保をさらに強化する一環といえる。

マナー向上も狙うビーコン導入　持続可能な都市交通へ進化するLimeの展望

ジオフェンシング導入と並行して、Limeは駐車マナーの改善にも力を入れている。
具体的には、ポートへの正確な駐輪を促すため、ビーコン技術を活用した新システムを展開中だ。
このビーコンはポート周囲約3メートル以内に車両を戻さなければアプリ上で返却処理が完了しない仕組みであり、放置車両問題の解消に役立つと期待されている。

現在、このビーコンは東京都内の約50カ所で導入が進んでおり、2025年6月までに既存ポート全てに設置完了予定である。
Limeの日本政府渉外責任者である井上祐輔氏は「電動マイクロモビリティを公共交通の一部として定着させ、持続可能な移動手段を提供したい」と語っている。

今後は渋谷センター街など、さらに多くの繁華街周辺へのジオフェンシング拡大も視野に入るだろう。電動キックボードが都市交通の一翼を担う未来が現実味を帯びてきたのではないだろうか。
安全性の向上とマナー啓発を両輪に、Limeは日本市場での存在感を一層高めることになるだろう。