スウェーデン議員がビットコインの国家準備金化を提案 米国動向受け

2025年4月7日、スウェーデンのリカルド・ノルディン議員が、国家準備金に暗号資産ビットコインを加えることを検討すべきだとして、財務相に書簡を送付した。16日までに回答される見込みだ。
米国の動向を背景とし、経済的不確実性への備えとしての価値を訴えている。
欧州中央銀行の姿勢との整合性が問われるなかで、議論の行方が注目される。
米国の仮想通貨政策に触発された提案
スウェーデンの中道右派政党に所属するリカルド・ノルディン議員は7日、同国の財務相に対し、国家準備金に暗号資産ビットコインを加える意義について検討するよう求める書簡を提出した。
書簡では、これまでスウェーデンが外貨やゴールドを慎重に運用してきた実績に触れつつ、現代のデジタル資産の台頭を無視すべきではないと訴えている。
この提案の背景には、米国の動きがある。
ノルディン議員は、特にトランプ政権が仮想通貨に対して前向きな姿勢を見せており、政府が予算に中立な形でビットコインを保有する計画を進めている可能性に注目している。
財政支出を伴わず、納税者に負担をかけない方法での保有というモデルは、スウェーデンのような財政規律重視の国でも応用可能であると見られている。
EUとの規制整合性が鍵となる
今回の提案を実現するためには、課題も多い。
スウェーデンはEU加盟国であるため、その金融政策には欧州中央銀行(ECB)の方針が影響を及ぼす。
今年1月、ラガルドECB総裁は「EU加盟国の中央銀行がビットコインを準備金に加えることはないだろう」と公の場で述べており、EU全体として否定的な姿勢が明確になっている。
したがって、仮にスウェーデンが独自にビットコインを準備金に組み込む動きを進めたとしても、EU規制との整合性を保つための政治的・法的調整が不可欠となるだろう。
実際に、チェコなど一部のEU諸国でも類似の動きが見られるが、いずれも実現には至っていない。
現時点ではノルディン議員の提案もあくまで問題提起にとどまっており、財務相からの公式な回答はまだ公表されていない。
ただ、今後、米国での仮想通貨保有政策が具体化すれば、スウェーデンや他のEU加盟国にも影響を与える可能性はあるだろう。
また、ノルディン議員が指摘する「予算中立的アプローチ」(※)がどのように現実の財務運用に落とし込まれるかも重要な論点になると思われる。
たとえば、政府関連企業による保有や基金経由の取得など、間接的な保有形態が模索される可能性がある。
ノルディン議員の提案は、現時点では象徴的な意味合いが強く、直ちに政策化される見通しは立っていない。
ただし、今後の展開は米国の動向次第では、大きく変化するかもしれない。
仮に米連邦政府が予算に中立的な形でビットコイン保有を本格化させた場合、それは一種の「安全性の証明」となり、他国の追随を促す契機になりうるだろう。
※予算中立的アプローチとは:
政府が新たな税収や歳出を伴わずに政策を実行する方式。ビットコイン取得に際しては、政府資産の組み替えや外部ファンドを通じた運用などが該当する。