トランプ政権、スマホやPCなどを関税対象外に　AI半導体企業に追い風か

2025年4月11日、アメリカのトランプ政権が発表した「相互関税」の一部緩和措置が注目を集めている。
この決定は、AI向け半導体を含む先端分野にとって、コスト圧縮と供給安定の両面で追い風となる可能性がある。

米政権の関税緩和がテック業界に与える影響

ドナルド・トランプ大統領は、中国との貿易不均衡是正を掲げ、145%という高関税を広範囲な輸入品に対して導入していた。

今回の発表では、その中でも特に影響が大きかった消費者向け電子機器の一部を対象外とする方針が明らかにされた。
除外される製品には、スマートフォン、ノートパソコン、メモリーチップ、そしてAI向け最先端半導体などが含まれており、対象企業の経済的負担軽減が期待されている。

中でも注目すべきは、AI向け半導体を手がけるエヌビディアの動向だ。同社は、中国とのサプライチェーンに依存する製造構造を持っており、今回の緩和措置によって製造コストの圧縮が可能になると見られている。

また、デルやアップルのようなパソコン・スマートフォン大手も例外ではない。中国での組立比率が高いアップルは、関税の適用外となることで価格転嫁の必要性が薄れ、ユーザーへの影響を最小限に抑えられるとされる。

一方で、中国側は報復措置として、アメリカからの輸入品に対し125%の関税を発動しており、米中間の緊張は続いている。これにより、世界経済に広がる不確実性も依然として残されている。

今回の関税除外は短期的にはアメリカのテクノロジー企業にとって大きな救済となる。
特に価格変動に敏感な消費者市場において、電子機器の安定供給と価格維持は購買意欲の維持に直結する。企業にとっては、コスト上昇を回避するだけでなく、グローバル市場での競争力を保つ意味でも大きな意義を持つ。

今後の展望

トランプ政権が発表した電子機器の関税除外措置は、AI向け半導体メーカーにとって一時的な恩恵となる可能性がある。
特に、エヌビディアやAMDのような企業は、中国を含むアジア地域に製造拠点を持ち、サプライチェーンの多くを海外に依存している。今回の措置により、短期的にはコストの上昇を抑え、製品価格の安定化が期待される。

このような状況下で、AI向け半導体メーカーは、製造拠点の多様化やサプライチェーンの再構築を進める必要があるだろう。
たとえば、台湾積体電路製造（TSMC）は、アリゾナ州に大規模な製造施設を建設中であり、エヌビディアも米国内での製造能力の強化を検討している。
これらの動きは、関税リスクの軽減とともに、国内生産体制の強化を図るものと考えられる。

今後の注目点は、アメリカ政府がこの除外措置を中長期的な政策として定着させるかどうかにあるだろう。
仮に制度としての持続性が確保されれば、半導体メーカーは安定した国際供給体制を前提に長期的な設備投資や次世代製品の開発計画を進めやすくなると思われる。