日本HP、AI PCをメインストリーム市場に拡充 法人・個人向け計19モデルを一挙発表

株式会社日本HPは2025年4月11日、法人・個人向けを含む次世代AI PC製品を一挙に19モデル発表した。
すべてのカテゴリーにおいてAI技術が搭載されており、AI PCをハイエンド層からメインストリーム市場へと展開する戦略が明確になった形だ。
AIの裾野を拡大する日本HPの戦略
日本HPは国内PC市場で13四半期連続のシェア首位を維持しており、その競争優位性を活かしながら、AI PCの一般化に向けて一歩を踏み出した。
今回発表された製品群は、法人向けノートPC「HP EliteBook 8シリーズ」や、省スペースで量子コンピューティング対応セキュリティチップを備える「HP EliteDesk 8 Mini G1a」、プロフェッショナル向けの高性能ワークステーション群、さらにはZ世代を意識したスタイリッシュな個人向けモデル「HP OmniBook7 Aero 13」まで幅広い層を網羅している。
特に法人向けモデルでは、最大50TOPSのNPU(※)搭載により電力効率やAI処理能力が大幅に向上しており、AI画像生成の処理速度は従来比で最大43倍に達するという。
また、覗き見を防ぐセキュリティ機能「Sure View 5」や、モバイル通信無制限のeSIMモデルも備え、セキュリティと生産性の両立が図られている。
プロ向けのモバイルワークステーションとしては、18型ディスプレイとNVIDIA RTX PROを搭載した「ZBook Fury G1i18 inch」が注目を集めており、デスクトップ級の性能を持ち運べる利便性を強調する。
一方のデスクトップワークステーション「HP Z2 SFF G1i」は、最大12台の4Kディスプレイに対応しつつ、筐体サイズを20%縮小。高密度な業務環境にも対応可能な仕様だ。
※NPU(Neural Processing Unit):AI処理専用のプロセッサ。画像認識や音声解析などの機械学習処理をCPUやGPUよりも高速かつ低消費電力で実行できる。
オンデバイスAIツールも発表、HPのAI戦略が市場にどう響くかが注目点
今回の製品発表はハードウェアの更新にとどまらず、AI体験の中核を担うソフトウェアツール「HP AI Companion」についても説明された。
これは、AIの発見・分析・最適化を支援するツールで、今年夏にはローカルで処理するオンデバイスモードの実装が予定されている。
クラウド依存を軽減し、処理速度とプライバシー保護の両立を目指したものだ。
松浦徹事業本部長は、「オンデバイスAIだからこそ可能なスピードと低コスト、そして高いセキュリティの融合が、今後のPC利用の基盤になる」と語っており、岡戸伸樹社長も「Future of Work(未来の働き方)の実現に向けて、HPはエコシステム全体で貢献していく」と展望を示した。
ただ、オンデバイスAIに対応するには、ソフトウェアの最適化だけでなく、ユーザーのリテラシーや環境整備も不可欠となる。
新機能を活かしきれず、単なる高価格モデルにとどまる可能性もあり、どれだけユーザーフレンドリーなUIを構築できるかが勝負になるだろう。
日本HPはAI PCの民主化と同時に、個人と企業がより柔軟かつ安全に働ける未来を描こうとしている。
今後の市場動向において、この一手が中長期的にどれほどの影響をもたらすか注視される。