金融庁が仮想通貨規制強化 適格機関投資家の保護と透明性確保へ

2025年4月9日、金融庁と日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は、適格機関投資家を対象とした暗号資産の販売に関する新たな規制枠組みを施行した。
プロ向けトークン販売に新制度 明示義務と譲渡制限で透明性を確保
新制度の中核を成すのは、暗号資産交換業者がプロ向けトークン販売を行う場合、販売対象の暗号資産に「プロ向け」と明示する義務である。
これは、一般投資家と適格機関投資家(※)の混同を防ぎ、トークンの販売対象を明確化する狙いがある。
また、トークンの発行者や技術的特徴、スマートコントラクトの構成、移転制限のルールといった詳細情報の開示も義務付けられており、購入判断の基盤が強化される構造となっている。
販売対象となる暗号資産は「適格新規暗号資産」と定義され、再販売を防止するための譲渡制限が課される。
これにより、トークンが一般市場へ流通するリスクを低減し、制度設計に沿った市場形成が図られる。
加えて、投資家および発行体の双方に対し、反社会的勢力との関係排除やマネーロンダリング(AML)・テロ資金供与対策(CFT)への対応が義務化された。
国内外で問題視されてきた匿名性の高い資産流通に対する牽制であり、法令順守の徹底を促すものと位置づけられている。
※適格機関投資家:金融商品取引法により定義される、一定の資産規模・知識・経験を有する法人や個人を指す。高度な判断能力を持つとされ、一般投資家と区別される。
市場の信頼性向上と規制強化の序章 国内外で進む暗号資産管理の枠組み整備
今回の規制は、透明性の向上と制度的信頼の獲得を目的としており、国内市場の成熟を後押しする契機となるだろう。
特に情報開示義務の強化は、適格機関投資家に対する信頼醸成に直結する。
投資判断に必要な情報を事前に入手できる環境が整えば、積極的な資金投入も期待される。
一方で、再販売の制限やプロ向けの明示義務といった制限要素は、市場の流動性を抑制する可能性もある。
取引の自由度と投資家保護のバランスが今後の議論の焦点になることは避けられない。
また、金融庁の事務ガイドライン第16章およびJVCEAの販売ルール改訂により、制度は法的裏付けを持って実施されている。
類似の動きは国際的にも進行中であり、欧州連合(EU)ではMiCA規制によって暗号資産関連の包括的管理が始まっている。
国内での本制度の運用状況次第では、一般投資家向けトークンの販売に対する規制強化も現実味を帯びてくる可能性がある。
制度の進展は、単に一部投資家向けの制限措置にとどまらず、日本全体の暗号資産政策に波及する重要な一歩となり得る。