Google Cloud、AIエージェント開発をサポート 「Agent Development Kit」をオープンソースで公開

2025年4月10日(日本時間)、Google Cloudは年次イベント「Google Cloud Next 2025」にて、AIエージェント構築のための新たな開発フレームワーク「Agent Development Kit(ADK)」をオープンソースで公開すると発表した。
直感的な少量のコードで多様なモデルに対応したエージェントを開発できることが特徴で、同時に「Agent Garden」や「Vertex AI Agent Engine」などの関連サービスも公表されている。
100行未満で構築可能な高機能AIエージェント
今回発表された「Agent Development Kit」は、AIエージェント開発の技術的ハードルを大幅に引き下げるツールとして注目を集めている。
100行未満のコードでエージェントの基本機能を実装できる点が最大の特徴であり、開発初心者から上級者まで幅広い層にとって扱いやすい設計となっている。
エージェントが利用するモデルは、GoogleのGeminiに加え、AnthropicやMeta、AI21 Labsなど、Vertex AIのModel Gardenに登録された200以上のモデル群から柔軟に選択できる。
モデルを使い分けることで、用途や目的に応じて最適なAI性能を引き出すことが可能だ。
また、ADKは、Model Context Protocol(MCP ※)をサポートしており、データとエージェント間の柔軟な接続を実現する。
MCPはAnthropic社が開発したツール間の連携規格で、OpenAIもAPIを対応させるなど業界の新たなスタンダードと言える規格だ。
さらに、数行のコードで双方向のオーディオ・ビデオストリーミング機能を実装することもでき、対話型アプリケーションの構築も容易だ。
こうしたマルチモーダル機能は、顧客対応や教育支援などの分野で特に有用だと言えるだろう。
※Model Context Protocol(MCP):AIモデルと外部データ間の連携において、安全性と統合性を保つための通信プロトコル。異なるモデル間での統一的なデータ接続を可能にする。
開発エコシステムの広がりと今後の展望
ADKと同時に発表された「Agent Garden」は、ADKを活用した開発をサポートするためのリソース群で構成されている。
テンプレートやサンプルコード、ツールが揃っており、開発者は即座にプロジェクトを始動できる。
さらに、Google Cloudはマネージドなエージェント実行環境「Vertex AI Agent Engine」の正式版リリースも発表した。
これにより、開発したエージェントのスムーズなデプロイと運用が可能になり、クラウドネイティブな開発環境との統合が促進される。
ADKは現時点ではPythonのみの対応だが、2025年後半には他の主要プログラミング言語への対応も予定されている。
Googleは、AIエージェント開発を、Google Cloudという一大プラットフォーム上で完結することを目指していると思われる。
この一極集中が技術進化を牽引するのか、それとも閉鎖的な囲い込みを招くのかは、今後のエコシステムの開放性と参加者の創造性に委ねられる。