台北メトロ、AI活用の新デジタル列車を公開

2025年3月27日、台湾の台北メトロ(MRT)は、パソコン大手のエイサー(宏碁)と共同で開発したAIを活用した新しいデジタル列車を公開した。
この列車は、異常検知システムやデジタル広告表示システムなど、先進的な技術を多数搭載している。
AIによる異常検知と運行効率の向上
この新型列車には、乗客の異常な動きやトラブルをリアルタイムで検知する異常検知システムが搭載されている。異常が検知されると、監視カメラの映像が即座に運転席に表示され、運転士が迅速に状況を把握し、適切な対応を取ることが可能となる。
さらに、エッジコンピューティング技術を活用し、車両の運用効率の向上や、将来的には乗客の悲鳴を検知して潜在的なトラブルを察知するシステムの導入も計画されている。
6両編成のこの列車には、横型108枚、縦型72枚のデジタルディスプレーが搭載され、車内空間の全面的なデジタル化が実現されている。
特に先頭および後尾車両には、裸眼3Dディスプレーがそれぞれ1枚設置され、乗客に新しい視覚体験を提供する。
また、ドア上部の車内案内表示装置も改良され、駅の出口案内などの情報が表示可能となり、乗客の利便性が向上している。
エイサーの関係者によれば、この列車の開発には約1年を要し、AIを日常生活に取り入れることで、多様なスマートソリューションを提供することを目指しているという。
この新しいデジタル列車は、淡水信義線で優先的に運行される予定であり、乗客の安全性と快適性の向上に寄与すると期待されている。
今後の展望
台北メトロがエイサーと共同で開発したAI活用のデジタル列車は、都市交通の未来を示す先進的な取り組みである。
異常検知システムやデジタル広告表示システムの導入は、乗客の安全性と利便性を高めると同時に、運行効率の向上にも寄与すると考えられる。
今後は、このようなAI技術を活用した列車が他の路線や都市にも展開される可能性がある。
エッジコンピューティング(※)技術が進化し、リアルタイムでのデータ処理が可能となれば、さらなる安全性の向上やサービスの充実が期待できるだろう。
また、デジタル広告システムの発展により、乗客への情報提供やエンターテインメントの提供が一層多様化することが予想される。
一方で、AI技術の導入に伴うプライバシー保護やデータ管理の課題も浮上する可能性がある。これらの課題に対しては、適切なガイドラインの策定や技術的な対策が必要となるだろう。
総じて、台北メトロの取り組みは、今後の都市交通の在り方に大きな影響を与えるものと考えられる。
※エッジコンピューティング
データの処理をクラウドではなく、データが生成される端末やその近くで行う技術。これにより、遅延の少ないリアルタイムな処理が可能となる。