Aiming、競輪投票サービス事業に参入 KPJ企画への出資で新たな収益基盤を構築へ

モバイルゲーム開発を手がける株式会社Aimingは2025年4月28日、日本国内で競輪投票ポータル事業を展開する株式会社KPJ企画への出資を発表した。出資比率は42.85%で、今後KPJ企画はAimingの持分法適用会社となる見込みだ。競輪市場という新領域への進出は、Aimingの収益基盤の多角化とシナジー創出を狙った動きとみられる。
競輪市場1兆円超の可能性 Aimingの狙いと戦略的パートナーシップの意味
Aimingが出資を決めたKPJ企画は、競輪投票ポータルアプリの共同保有・企画・運営を行う企業であり、イースト・グループ・ホールディングスの出資によって設立された。
今回の出資比率は42.85%に達し、Aimingにとって同社は持分法適用会社となる。これにより、Aimingは経営面でも一定の影響力を持つ立場となると考えられる。
競輪市場は年間1兆円を超える規模を誇り、そのうち78%以上がインターネットを経由した投票によるものだ。こうしたデジタル化が進む中で、Aimingがモバイルアプリ領域の開発・運用ノウハウを活かして市場に参入する意義は大きい。
特に、競輪というニッチだが安定した需要を持つ領域において、既存のゲームユーザー層とのクロスユースも視野に入れた展開が可能となる。他社の成功例としては、MIXIが展開する『モンスターストライク』に起因するスポーツベッティング事業への進出が挙げられる。
Aimingも同様に、既存IPや開発力を活かして新たな収益の柱を築こうとしていると見られる。今回の出資はその第一歩であり、今後の事業連携やプロダクト統合の展開が注目される。
ゲームからベッティング領域へ 業績回復と今後の展望が示す成長のシナリオ
出資発表と同日、Aimingは2025年12月期第1四半期(1~3月)の連結決算も公開した。それによれば、主力タイトル『ドラゴンクエストタクト』の安定した収益に加え、新作『WIND BREAKER 不良たちの英雄譚』の配信開始が奏功し、同社は黒字転換を果たした。
業績回復基調の中での今回の出資は、収益構造の多様化と長期的な成長戦略を意識したものであると読み取れる。
特に注目すべきは、モバイルゲーム企業がベッティング領域に踏み出す流れが国内外で加速している点である。デジタルベースの競輪投票はユーザーの操作性やUX(※)が重視されるため、ゲーム開発で培った技術と感性がそのまま強みに変わる。
Aimingは今後、UX改善やアプリ機能の強化に加え、自社ゲームユーザーの誘導などを通じて市場シェアの獲得を目指すと考えられる。
Aimingのこうした動きは、単なる異業種参入ではなく、既存技術と市場の融合による次世代型エンタメ×投資体験の創出という文脈で捉えるべきだろう。競輪という公共性の高い分野において、Aimingの参画が業界の新たな潮流となる可能性も否定できない。
今後のアプリ統合、データ活用、さらなるIP連携など、事業展開の進化が期待される。
※UX(ユーザーエクスペリエンス):ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験全体のことを指す。操作のしやすさや満足度などが評価基準となる。