86,000ドルの壁と金価格高騰が示すビットコインの今後

2025年4月、ビットコイン（BTC）は83,000ドルから85,200ドルの範囲で推移し、86,000ドルという重要なレジスタンスを突破することなく停滞している。米国の労働市場の堅調さが利下げ期待を後退させ、リスク資産に対する投機的センチメントを抑制。その一方で、金価格が史上最高値を記録し、ビットコインの動向に新たな視点を提供している。

ビットコインの現状と市場の影響要因

2025年4月、ビットコインは83,000ドルから85,200ドルの間で推移している。市場の関心を集める86,000ドルのレジスタンスラインは、依然として突破されていない。この停滞の背景には、米国労働省が発表した失業保険申請件数の予想を下回る結果が影響している。これにより、労働市場の堅調さが示され、利下げ期待が後退。結果として、リスク資産に対する短期的な投機的センチメントが抑制され、ビットコインをはじめとする仮想通貨市場は一時的に停滞していると言える。

また、金価格が史上最高値となる3,357ドル（オンス当たり）を記録したことが、ビットコインの動向に影響を与えている。過去のデータから、金価格の上昇後にビットコインが高値を更新する傾向が見られており、今回もそのパターンが見られる可能性がある。専門家によれば、ビットコインは金の価格上昇後、おおよそ100〜150日以内にその高値を更新することが多いという。

さらに、JPモルガンのアナリストは、マクロ経済の不確実性が高まる中で金の需要が高まる一方で、ビットコインはその恩恵を十分には享受していないとの分析を行っている。金ETFには211億ドルの純流入があった一方で、ビットコインETFは3ヶ月連続で資金流出を記録しており、投資家のリスク選好が変化していることを示唆している。

今後のビットコインの展望と投資家の動向

ビットコインの価格動向は、今後も市場環境やマクロ経済要因に大きく左右されるだろう。特に、2025年後半にはビットコインの半減期効果が価格上昇のトリガーとなる可能性がある。半減期とは、マイニングによる新規供給量が半分になるイベントであり、過去には価格上昇の兆しを見せたことがある。これにより、ビットコインの需給バランスが影響を受け、価格上昇が期待される。

また、金とビットコインの相関性が注目されている。金価格が新たな高値を記録した後、ビットコインが追随するケースが過去に多く見られたため、今後数ヶ月間でビットコインも価格を上昇させる可能性が高い。これに伴い、投資家のリスク選好も影響を受け、特に金ETFとビットコインETFの資金流入・流出の動向に注目が集まる。

ただし、金価格やビットコインの価格はマクロ経済の影響を強く受けるため、投資家は注意深く市場の動向を見守る必要がある。今後、米国の金融政策や世界的な経済状況がビットコイン市場に与える影響も無視できない。特に、金利政策やインフレ率、株式市場の動向などが価格に大きな影響を及ぼす可能性がある。

※半減期とは、ビットコインのマイニング報酬が半分になるイベントで、供給量が減少するため、需要とのバランスで価格が上昇する傾向がある。過去の半減期後には価格上昇が見られた。