金融庁、暗号資産規制強化へ FTX破綻の教訓活かす
金融庁が2025年1月22日に公表した報告書において、暗号資産規制の強化と新たな仲介業態の導入が主要な内容として掲げられた。この報告書は、暗号資産業界の健全な発展と利用者保護を両立することを目指しており、今後の法改正に向けた重要な指針となる。
金融庁が暗号資産交換業者の破綻対策を本格化
金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」が2024年9月から7回にわたる審議を経てまとめたこの報告書では、暗号資産交換業者や電子決済手段取引業者の破綻時対策に重点が置かれている。
具体的には、資産の国外流出を防ぐため、金融商品取引法を参考にした規定を資金決済法に導入することが提案されている。これは、2022年11月に発生したFTX破綻の教訓を踏まえた対応策だと言える。
また、報告書では暗号資産などの売買を仲介する新たな業態として「所属制」の導入が検討されている。これは、利用者の財産を預からないことを前提に、財産的基盤に関する参入規制やAML/CFT義務を適用しない案の提示である。新規参入の促進やサービスの多様化が期待できるだろう。
電子決済手段の運用対象拡大
報告書ではさらに、電子決済手段（ステーブルコイン）の運用対象拡大についても言及している。
特定信託受益権の発行見合い金について、現行の要求払預貯金に加え、短期国債や一定の定期預金での運用が検討されているようだ。
新たな運用対象資産の組み入れ比率については、上限を50%とする案が示されており、これにより運用の柔軟性が高まると考えられる。
今後の展望と課題
この報告書は、今後の金融審議会総会で取り上げられ、法改正に向けた具体的な議論が進められる予定だ。
暗号資産規制の強化は、国際的なマネーロンダリング対策の強化の流れに沿ったものであり、FATFの基準に基づいた対応の一環と言える。
一方で、2025年度税制改正大綱では、暗号資産取引の課税上の取り扱いについて見直しの検討が進められている。
現行制度では、暗号資産取引による利益は所得税法上の雑所得として総合課税の対象となり、最大で55%（住民税含む）の税率が課されているが、今後は株式等の金融商品取引と同等の税制を適用する可能性も議論されている。
このように、規制強化と業界の健全な発展の両立を図る動きが進んでいる。
今後は、利用者保護と業界の成長促進のバランスをいかに取るかが重要な課題となるだろう。
また、国際的な規制動向との整合性を保ちつつ、日本の暗号資産業界の競争力を高めていくことが求められる。
金融庁の今回の報告書は、そうした課題に対する一つの回答を示したものだと言えるだろう。
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