富士通と日本総合研究所、三井住友銀行の生成AI活用実証実験を発表

2025年1月23日、富士通株式会社と日本総合研究所は、株式会社三井住友銀行の次期システム構築において、生成AIを活用する共同実証実験の進展を発表した。この取り組みは、システムのバージョンアップに伴う課題解決を目指し、業界全体に新たなインパクトをもたらす可能性がある。

生成AI活用による次世代システム構築

三井住友銀行は現在、次期勘定系システムの構築を進めている。
このプロジェクトでは、NECのメインフレーム「i-PX AKATSUKI」を採用し、安定性と柔軟性の両立を図っている。さらに、生成AIを活用することで、業務プロセスの効率化や従業員の負担軽減を実現する計画である。

生成AIの導入により、ドキュメントの自動生成やデータ分析の迅速化によって従業員はより戦略的な業務に集中できるようになる。また、不正行為の早期検出やリスク評価の精度向上が可能となり、リスク管理が強化されると期待されている。

さらに、顧客のニーズに応じたサービスを提供することで、顧客満足度も向上すると見込まれている。このシステムのバージョンアップには約500億円が投資される予定だが、これはメガバンクとしては異例の低コストでの実施であり、注目が集まっている。

銀行業界における生成AIの広がり

三井住友銀行以外にも、生成AIは多くの銀行で採用が進んでいる。
たとえば、JPMorgan Chaseでは投資アドバイスツール“IndexGPT”を導入し、Morgan Stanleyではファイナンシャル・アドバイザー向けのAIアシスタントを展開している。
また、Mastercardは不正利用検出率を向上させるAIモデルを活用し、OCBC銀行はAIチャットボットにより業務効率を50%向上させている。

これらの事例からも分かるように、生成AIは銀行業務のデジタルトランスフォーメーション（DX）を推進する重要な要素となっている。日本国内においても、三井住友銀行をはじめとする金融機関が独自の生成AIツールを開発し、業務効率化に取り組む動きが加速している。

生成AIがもたらす未来

生成AIの進化により、銀行業界では新たなビジネスモデルの創出が期待されている。
AIを活用した資産管理や投資戦略の提供は、これまで以上にパーソナライズされたサービスを可能にするだろう。また、膨大なデータを迅速に分析する能力は、市場動向の予測や顧客行動の把握を支援し、戦略的な意思決定を強化する。

三井住友銀行の取り組みは、日本の銀行業界における生成AI活用のモデルケースとなる可能性が高い。今後の進展に注目が集まる。