AWAJが米SEC委員に書簡送付、日米協力でトークン化経済の発展目指す

3月25日、日本の一般社団法人「アジアWeb3アライアンスジャパン(AWAJ)」が、米証券取引委員会(SEC)の暗号資産タスクフォース責任者であるヘスター・パース委員に書簡を送付した。
資産のトークン化を軸にしたWeb3規制の整備における日米協力を呼びかける内容となっている。
日米スタートアップ支援へ、明確な規制と相互運用性の確保を提案
AWAJは今回の書簡で、トークン化に特化した規制整備の重要性を強調し、日米のスタートアップや企業がグローバルに活躍できるトークンエコノミーの構築に向けて、官民を越えた連携を提案した。
書簡では、トークン化市場の発展に不可欠な要素として、日米双方における規制の明確化、法制度の相互運用性、さらに包摂的な市場環境の共同開発を掲げた。
具体的な提案としては、トークン発行の初期段階に適用される「セーフ・ハーバー(一定条件下で規制適用を猶予する措置)」の設置や、両国関係者によるオンライン会議の場を通じたワーキンググループの設立が盛り込まれている。
この動きの背景には、日本国内でトークン化を巡る規制が依然として曖昧であり、新興企業にとって市場参入の障壁となっている現状がある。
国際連携によるトークン化推進、AWAJの展望
AWAJは2023年12月に設立された東京拠点の団体であり、アジアのWeb3企業と日本企業との架け橋となることを目指している。
2024年には国内での活動を基盤として展開し、2025年には国際的な連携強化へと踏み出す方針を示している。今回の米SECへの書簡送付も、その一環と位置付けられている。
現実資産(Real World Assets:RWA)(※)のトークン化においては、法的解釈や税制上の取り扱いが国や地域によって大きく異なる。
特に、RWAの所有権や収益分配の取り扱いに関しては、統一的な国際基準が存在しないため、国境を越えたビジネス展開には多くの課題がある状況である。
AWAJはこの点についても、米国との連携により共通のガイドラインや運用ルールの整備を図ることで、グローバルなトークン市場の成熟を後押ししたい考えだ。
AWAJの提案が実現すれば、日本はトークンエコノミーの発展において先進的な立場を確立できる可能性がある。特に、欧州のMiCA規制が進む中、日本がアジアのWeb3ハブとしての役割を果たすシナリオも考えられる。
2025年にはAWAJの国際連携強化が予定されており、米国やEUとの協力が深化すれば、世界的なトークン市場の枠組み形成に貢献する道も開けるだろう。
ただし、規制の整備には時間を要するため、短期的な影響は限定的かもしれない。
米国側の反応次第では、調整に数年を要することも考えられる。その間に日本国内で独自の枠組みを先行整備し、企業が実証実験を行える環境を整えることが重要になるだろう。
AWAJが国内外のステークホルダーとの協議を続け、具体的な施策へと落とし込めるかが、今後の鍵を握っているといえる。
※RWA(Real World Assets):不動産や株式など、実在する資産をブロックチェーン上でデジタル化する概念。トークンを通じて小口化・分散投資が可能になり、資産運用の新たな形として注目されている。