コインチェック、法人向け新サービス「Coincheck Prime」を開始 税制対応や大口取引を強化

2025年3月25日、暗号資産取引所を運営するコインチェック株式会社(東京都渋谷区)は、法人および機関投資家向けの新サービス「Coincheck Prime」を開始した。
本サービスは暗号資産の保有・運用に対する企業の関心が高まる中、税制対応やセキュリティ、流動性の確保といったニーズに応えるものである。
暗号資産の本格導入を進める法人向けに 税制と取引の壁を取り除く「Coincheck Prime」
「Coincheck Prime」は主に1,000万円以上の預入れまたは取引を想定する法人顧客に対し、より高度な暗号資産サービスを提供する新たなプラットフォームだ。
最大の特徴は、企業が暗号資産を保有・運用する際に直面しがちな税務および取引コストの課題に対し、実務的なソリューションを用意している点にある。
たとえば「アセットロック」(法人が保有する暗号資産の税務上の時価評価を一定期間停止または適用除外とする仕組み)機能では、法人が保有する暗号資産に対する期末時価評価課税の適用除外を実現し税負担の軽減が可能になる。
これは資産評価に伴う税務リスクを避けたい企業にとって導入の障壁を下げる重要な仕組みだ。
加えて「大口OTC取引」では市場価格の影響を受けにくい店頭取引において、特別な優遇レートが適用されるため、大規模な資金移動を効率的に実行できる。
また暗号資産のセキュリティ対策として「カストディ」機能を強化した。
高セキュリティを誇るコールドウォレットを利用し、万が一の不正アクセスやサイバー攻撃から資産を守る体制を整えている。
これによりITリスク管理の観点からも、企業が安心して暗号資産を取り扱える環境が整備されたと言える。
暗号資産専門サービスの展望
法人の暗号資産市場参入が進む中で、「Coincheck Prime」のような専門サービスの需要はさらに高まると考えられる。特に、日本国内では税制の見直しが議論されており、法人向けの暗号資産制度が整備されれば、本サービスの影響力は増していくだろう。
また、機関投資家の参入が進めば、カストディ機能の強化が鍵を握るだろう。
海外ではすでに機関投資家向けのカストディサービスが拡充されており、日本市場においても同様の流れが加速する可能性が高い。
今後の規制動向によっては、コインチェックがETF組成やその他の金融商品展開を進め、法人向けサービスの幅を広げる展開も考えられる。
ただし、暗号資産市場のボラティリティや規制リスクは依然として大きな不確定要素である。特に税制の変更や国際的な金融規制の動向によっては、現行の「アセットロック」制度が制約を受ける可能性もあるため、企業側も慎重な対応が求められる。
総じて、「Coincheck Prime」は法人市場の成長を後押しする画期的なサービスだが、その成否は規制環境の整備や市場の成熟度に大きく依存すると言える。