宇宙戦略基金第二期、1550億円の投資計画を発表 文部科学省

文部科学省が2025年3月11日に公開した「宇宙戦略基金」第二期実施方針の素案によると、日本の宇宙産業発展を目的とした全13の技術開発テーマに総額1550億円が投じられる計画だ。月面開発や衛星データ利用拡大など、新たな宇宙ビジネス創出を狙う見込みだ。
輸送・衛星・探査を含む4分野に集中投資
今回発表された第二期計画では、投資は大きく4つの分野に分けられ、それぞれに明確な戦略目標が設定されている。最大の投資先となるのは衛星等分野で、総額605億円が割り当てられた。
この分野では特に「空間自在移動の実現」に300億円が投じられ、衛星の機動性向上が重点的に推進される見通しだ
次いで探査等分野には505億円が配分され、月極域における高精度着陸技術に200億円、軌道上データセンター構築技術に135億円が充てられる。これらは日本の月面探査能力を大幅に強化するもので、国際的な月開発競争における日本の地位向上を目指している。
輸送分野には185億円が投入され、有人宇宙輸送システムの安全確保(100億円)とスマート射場の実現(85億円)に注力する計画だ。
さらに分野共通として210億円が確保され、宇宙技術の産業転用や新たな研究開発拠点の創出が図られる。
これら投資の全体像からは、単なる技術開発にとどまらず、日本の宇宙産業全体のエコシステム構築を視野に入れた包括的な戦略であることが読み取れる。
スタートアップの積極参入と今後の展望
すでに2024年7月に開始された第一期の公募では、全22テーマに対して130件、247社からの応募があった。
注目すべきは応募の55%が民間企業からであり、特にスタートアップ企業の参加が顕著だったという点だ。採択されたプロジェクトの例としては、KDDIによる「月-地球間及び月面での大容量通信実現に向けた実現可能性検討」などが挙げられる。
この宇宙戦略基金を通じて、新たな宇宙輸送ビジネスの創出や衛星データ利用の拡大、そして月面開発の推進といった分野での成果を上げることを政府は目指している。
特に民間企業の参入を促進することで宇宙輸送システムの効率化を図るとともに、次世代の地球観測衛星を活用した新たなビジネスモデルの創出が期待されている。
また月面経済圏の創出に向けた基盤技術の開発にも力が入れられており、日本の宇宙産業が国際競争力を持つための重要な一歩と位置づけられる。
宇宙産業はグローバルで急成長している分野であり、この戦略的な投資が日本の技術力向上と産業発展にどのような効果をもたらすか、今後の展開が注目される。
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