マイケル・セイラー氏、米政府にビットコイン供給の25%購入を提案

2025年3月7日、ストラテジー創業者のマイケル・セイラー氏は米国政府に対して、政府がビットコインの総供給量の最大25%を取得することを提案した。
この提案はビットコインを国家の戦略的準備金(国家が経済的安定性や通貨価値の維持を目的として保有する資産)として位置づけ、将来的な経済的利益と国家債務の軽減を目指すものである。
セイラー氏の提案とその経済的影響
マイケル・セイラー氏は2025年から2035年の10年間にわたり、米国政府が日次で計画的にビットコインを購入し、最終的に総供給量の5%から25%を国家の信託として取得することを提案している。
この提案はビットコインを国家の戦略的準備金として位置づけ、将来的な経済的利益を追求するものである。
セイラー氏はビットコインを「決して売却するべきではない」と強調し、2045年までにこの準備金が年間10兆ドル以上の収益を生む可能性があると述べている。
さらにこれによって米財務省に16兆~81兆ドルをもたらし、国家債務の軽減にも寄与すると考えられている。
政府の対応と過去の提案との比較
同日、ドナルド・トランプ前大統領は「戦略的ビットコイン準備金」および「デジタル資産備蓄」の創設を命じる大統領令に署名した。この準備金の初期資金は刑事事件で押収された暗号資産が充てられる予定である。
ただしこの大統領令には新たなビットコイン購入計画は含まれておらず、財務長官と商務長官に対して、追加購入に向けた「予算に中立的な戦略」を策定するよう指示している。
セイラー氏の提案は、2024年7月にワイオミング州選出のシンシア・ルミス上院議員が提出した「ビットコイン法」で提案された100万BTC(総供給量の5%)を大きく上回る規模である。
ルミス議員の法案は5年間で最大100万BTCを取得し、年間購入量を20万BTCに制限する計画を含んでいた。
セイラー氏の提案は、より大規模な国家戦略を示唆しており、米国のデジタル資産戦略において重要なステップとなる可能性がある。
今後の展望
セイラー氏の提案が実現する場合、米国のデジタル資産戦略は大きく変わる可能性がある。ビットコインの取得が進むことで米国はデジタル資産のリーダーとしての地位を確立し、国際的な影響力を強化することが期待される。
またビットコインを国家の準備金として活用することで、他国に対する経済的な優位性を確保することができるだろう。
しかし、提案の実現には政府内での合意形成や国民の理解を得る必要がある。
特にビットコイン市場のボラティリティやリスクについての懸念が根強い中で、政府がどのようにこれらの課題に対処するかが重要なポイントとなる。
また、他国の動向も注視すべきポイントである。
もし他国が同様の戦略を採用した場合、米国の優位性が揺らぐ可能性もあるために国際的な競争環境においても柔軟な対応が求められるだろう。したがってセイラー氏の提案が実現するかどうかは、今後の政治的な動きや市場の状況に大きく依存することになる。