【Week : 5/19-5/23】AI活用サービスやリサイクル企業が資金調達に成功 スタートアップ資金調達リサーチ

5月も後半に入り、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しました。
この記事では、5月19日から5月23日の間にリリースされた、スタートアップの資金調達ニュースをまとめています。さらに、事業内容、調達金額、今後の展望についても詳しく解説します。
体験型のソフトウェアプラットフォームを提供するPLAINER、4億円の資金調達を実施
事業内容: ソフトウェアデモプラットフォーム「PLAINER」の開発・運営
調達金額: 4億円
引受先: Angel Bridge、エル・ティー・エス、ALL STAR SAAS FUND、サイバーエージェント・キャピタル、みずほキャピタル、MIRAISE
今後の展望: 人材採用、新製品開発、AI活用による機能拡充、営業・マーケティング組織の強化
PLAINERは、ノーコードで誰でも簡単にソフトウェアのデモコンテンツを作成できる「PLAINER」を提供するスタートアップです。資料や説明だけでは伝えにくいソフトウェアの価値を、「触れて確認できる」体験として届ける新たなプラットフォームを構築。ソフトウェアの購買・活用がシームレスに行えるほか、AIを活用したデモ制作の自動化などといった機能も有しています。利便性の高さからfreeeやSansanなどのSaaS企業にも導入され、エンドユーザーの累計閲覧数は150万人を突破しています。
今回の資金調達により、AIによるデモ制作の自動化や新製品開発に投資し、営業・カスタマーサクセスなどの体制も強化する予定になっています。AI機能などを拡充することで、より直感的にソフトウェアの価値や仕組みを理解できるような環境づくりを推進する方針です。また日本国内だけではなくグローバル市場も見据え、商品展開を加速させていきます。

金属業界の脱炭素化を推進するSun Metalon、13億円の資金調達を実施
事業内容: 独自加熱技術を活用した金属リサイクルソリューションの提供
調達金額: 13億円
引受先: 日本製鉄、国際協力銀行(JBIC)、Airbus Ventures、Shimadzu Future Innovation Fund ほか
今後の展望: 日米両市場での事業拡大とグローバル展開の加速
Sun Metalonは、独自の加熱技術により、従来のリサイクル技術では難しかった金属資源の高効率な再資源化と脱炭素化を実現するスタートアップです。金属廃棄物から不純物を取り除き、リサイクル材を高純度素材に再生できる点が最大の特長で、自動車、建機、製鉄など幅広い業界への技術提供を行っています。従来よりも省スペース、低コストで金属リサイクルができる点も、Sun Metalonの強みです。
今回の資金調達では、日本製鉄やJBIC、Airbus Venturesなど日米の主要プレイヤーからの支援を受け、特に米国市場での展開を加速させる見込みです。循環経済への移行が求められる中、Sun Metalonの技術はその核心を担うものとして期待されており、グローバルな脱炭素の潮流の中で重要な役割を果たすことが期待されています。

AI越境ECのSAZO、7.1億円の資金調達を実施
事業内容: AIを活用した越境ECプラットフォーム「SAZO」の開発・運営
調達金額: 7.1億円
引受先: 日本郵政キャピタル、鈴与、D4V ほか
今後の展望: サービス提供国の拡大、物流ネットワークの強化、関税・輸送コスト予測システムのBtoB展開
SAZOは、AI技術を活用して国際ECの複雑な手続きを簡素化し、誰もが簡単に越境ショッピングを楽しめるプラットフォーム「SAZO」を展開するスタートアップです。国際取引におけるさまざまな障壁をAIで効率化しているのが特徴で、情報探索、決済、物流、関税処理などを自動化、ないし簡略化することに成功しています。特に日本と韓国間のECにおいてすでに高い取扱高を記録しており、サービスの取扱高については四半期ごとに179%を超える成長を遂げています。
今回の資金調達により、関税計算や物流費の自動見積もりといったBtoBソリューションの強化、物流拠点の新設、AIによるレコメンド・翻訳・決済補助機能などの高度化を目指します。これまでは日中韓が主要な市場でしたが、ほかの地域への展開も視野に、グローバル市場における“新しいECインフラ”を構築することを目指しています。

テイクアウト向けSaaS[テイクイーツ]を提供のランプ、総額7億円の資金調達を実施
事業内容: テイクアウトの注文受付・管理SaaS「テイクイーツ」の開発・提供
調達金額: 7億円
引受先: DNX Ventures、三井住友海上キャピタル
今後の展望: 機能拡張と販売促進、組織拡大
ランプは、飲食店の業務効率化と売上最大化を支援する「テイクイーツ」を開発・提供するスタートアップです。テイクイーツは、飲食店やスイーツ店を中心に、店舗ごとのカスタマイズが可能な注文サイトを即日で構築できる注文受付・管理SaaSです。店舗では最短即日でオンラインでの事前予約と決済の受付を簡単に開始できることが強みで、現在2,500店舗以上で活用されています。
今後は、POSやCRMとの連携など更なる機能拡充、営業・カスタマーサクセス体制の強化を進め、全国展開をさらに加速することを決定しました。飲食業界の人手不足やデジタル化遅れといった課題に対し、現場に寄り添ったテクノロジー提供で支援を拡大していく方針です。

エンジニア向けプラットフォームを開発するハイヤールー、約5.3億円の資金調達を実施
事業内容: エンジニア向けスキル評価・マッチングプラットフォーム「HireRoo」の開発・提供
調達金額: 5.3億円
引受先: プライマルキャピタル、クレストスキルパートナーズ、個人投資家4名、銀行融資
今後の展望: コーディング試験事業と母集団形成事業の拡大、2026年には人材評価ソリューションも展開
ハイヤールーは、エンジニアのスキルを可視化し、企業とのマッチングを支援する採用プラットフォーム「HireRoo」を開発、提供しています。HireRooは、スキルの見極めと人材との最適なマッチングを、AI技術を用いることで最適化したプラットフォームです。これまでに200社以上が導入し、5万件を超える選考実績を誇ります。AI時代における新たな採用基準の確立を目指し、スキルに基づく公正な評価とマッチングの実現に注力しています。
今後は、主要サービス「HireRoo Skill Interview」「Skill Hiring」の拡充、新規事業立ち上げに充てられ、30名体制への拡大も進められる予定です。日本のモノづくりを支える人材インフラの再構築を目指す取り組みとして、注目されています。

まとめ
5月19日から5月23日のスタートアップ資金調達例をまとめました。
今週は、SaaS、AI、素材、越境EC、人材採用と、業種・業態の多様性が際立つ資金調達が相次ぎました。特に、ランプやPLAINERのように、ノーコードや業務効率化SaaSを通じた「業界のDX」を支援するプロダクトは、既存産業における課題解決手段として引き続き高い評価を受けています。
また、Sun Metalonやハイヤールーのように、特定業界(素材・採用)での根深い社会課題に技術でアプローチするディープテック系スタートアップも注目されました。AIや自動化、データ活用といったキーワードは今後も重要な投資テーマとして継続すると考えられます。
「Plus Web3」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。