2026年8月8日、国内のNTTとTBSホールディングスは、共同出資会社「e6合同会社」を設立し、事業を開始した。AI時代の子どもたちが「自分で決める力」を育む次世代エデュテインメント事業を展開し、オリジナルIPとAIを組み合わせた体験型コンテンツで新市場の創出を目指す。
e6、オリジナルIPとAI体験を一体展開
e6は、NTTとTBSが2026年2月から進めてきた「e6 project」を事業化する新会社である。NTTの技術・研究開発力と、TBSグループのコンテンツ制作力やIP開発力を掛け合わせ、テクノロジーとエンターテインメントを融合した事業を展開する。
中核となるのが、オリジナルIP「感情騎士 – エモーショナル・ナイト -」だ。物語やキャラクターを通じて子どもが自分の感情や選択に向き合えるよう、マンガ、アニメーション、映像などへの展開を進める。
さらに、同IPの世界観を生かしたAIアトラクションやインタラクティブコンテンツを開発。イベントや商業施設、教育施設、自治体、企業との連携に加え、インディゲーム、グッズ、ライセンスなどにも展開し、子どもたちの日常にAIとの接点を広げる考えだ。
背景には、生成AIの普及によって学びの環境が変化していることがある。大量の情報や「もっともらしい答え」をAIから得られる時代だからこそ、自分の感情を自覚し、考え、主体的に選択する力が重要になるとの考えである。
IPと共創で広がる次世代エデュテインメント
e6は、AIを学習対象として前面に出すのではなく、物語や遊びを起点にAIと共に悩み、表現し、自分で未来を選ぶ体験を生み出そうとしている。この方向性は、知識を一方的に教える従来型の教育とは異なる価値を生む可能性がある。
実際、2026年3月の「AKASAKA あそび!学び!フェスタ® 2026」では、感情騎士の世界観を体験できる3コンテンツを公開し、約1,000人の子どもが参加した。体験後のアンケートでは満足度91.2%となっており、今後のコンテンツ展開に向けた実証機会となった。
また、ファンやクリエイターが参加できるコミュニティを構築し、投稿企画やコンテスト、共創型イベントなどを通じてIPを育てる仕組みも整える。IP開発からユーザー共創、プロダクト化、還元へとつなげる循環が機能すれば、コンテンツの継続的な成長が期待できる。
一方で、子ども向けAI体験では、楽しさだけでなく、技術との適切な関わり方をどう設計するかが重要になる。NTTの次世代情報通信基盤「IOWN」やNTT版LLM「tsuzumi 2」などを活用しながら、リアルな体験とデジタルコンテンツをどこまで一体化できるかが、事業の広がりを左右すると考えられる。
年内にはマンガやショートアニメなどの展開を始動する予定であり、AIコンテンツを体験できる場や共創コミュニティも順次整備する。将来的にはテーマパークも視野に入れており、遊びを通じて「好き」や「こうしたい」を選ぶ体験を日常へ浸透させられるかが注目される。