金融庁は国内6社による貿易取引でのステーブルコイン活用実証を支援すると発表した。
決済高度化プロジェクトの4件目案件として、実務対応や法的論点を検証する。
貿易決済でステーブルコイン活用を実証
金融庁は2026年9月29日、「FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト(PIP)」の4件目の支援案件として、貿易取引におけるステーブルコイン活用の実証実験を支援すると発表した。
FinTech実証実験ハブ全体では15件目の支援案件となる。
申込者はトレードワルツ、NTTデータ、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ信託銀行の6社である。
実証では、貿易取引に伴う資金決済へステーブルコインを利用する際の実務上の対応を検証するとともに、関連する法的論点を整理する。
想定期間は2026年9月から当面の間としている。
金融庁は2017年、フィンテック企業や金融機関が前例のない実証実験へ取り組む際の懸念を減らす目的でFinTech実証実験ハブを設置した。
さらに、ブロックチェーンを活用した決済高度化の検討が国内外で進んだことを受け、2025年11月には決済分野に特化したPIPを立ち上げている。
今回の案件は、実験内容の明確性や社会的意義、革新性、利用者保護、実験を遂行できる体制などを踏まえて支援が決定された。
実証終了後には、コンプライアンスや監督対応、一般利用者向けサービス提供時に想定される法令解釈上の論点を含め、実験結果や結論が公表される予定だ。
貿易決済の効率化へ、制度整備が焦点に
貿易取引でステーブルコインを利用できれば、従来の決済手段を補完し、国境を越えた資金移動の効率化につながる可能性がある。
貿易では複数の企業や金融機関が関与するため、ブロックチェーンを活用して決済処理を高度化できれば、手続きの迅速化や業務負担の軽減も期待できる。
特に、大手銀行3行や信託銀行、IT事業者、貿易情報連携基盤を手がける企業が参加する点は重要だ。
金融機関だけでなく、貿易実務やシステム運用を担う事業者が同時に検証へ加わることで、技術面だけでは見えにくい実務上の課題を洗い出せる可能性がある。
一方、ステーブルコインを実際の貿易決済へ広げるには、法令上の位置付けやコンプライアンス、監督対応を明確にする必要があるだろう。
実際のサービス提供に向けてどのような実務対応が必要になるか、一般利用者向けに展開する際にどのような保護措置が必要になるかも重要な論点となりそうだ。
今回の実証はサービスの本格導入を意味するものではないが、終了後に法的・実務的な論点を含む結果が公表されれば、今後の制度設計や民間企業の参入判断に影響を与える可能性がある。
貿易決済という実需分野で具体的な検証が進むなか、日本のステーブルコイン活用が実証段階から社会実装へ移行できるかが注目される。
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