2026年7月23日、米NVIDIAはサンフランシスコで開催した「AI Summit」において、韓国政府や主要企業とのAI分野での協力拡大を発表した。KAISTとの共同AI研究所設立をはじめ、AIインフラや研究開発、人材育成を含む国家規模のAI構想が示され、韓国のAI競争力強化に向けた取り組みが本格化している。
KAIST共同研究所設立、韓国AI戦略が本格始動
NVIDIAは韓国科学技術院(KAIST)と共同で、ソウルのKAIST金在哲AI大学院内にAI研究所を設立すると発表した。韓国の大学とグローバルテクノロジー企業による初の共同AI研究所となり、韓国語や国内産業に最適化したAIエージェントの研究を進める。
研究では、NVIDIAのオープンモデル「Nemotron」やAIクラウド基盤を活用し、基礎研究から人材育成までを共同で推進する。また、KAIST機械工学部とはフィジカルAI(※)分野の研究拠点「NVIDIA AI Technology Center」の設立も計画している。
AI Summitでは、韓国の李在明大統領とNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが会談し、AIインフラ、半導体、研究開発で連携を深める方針を確認した。さらに、NAVER、SKグループ、現代自動車グループ、ソウル大学なども参画し、AIファクトリーやデータセンター、自動運転、ロボティクス分野での協力拡大を表明している。
なかでも、NAVERはデータセンターのAI基盤を約10万基規模のGPUへ拡張する計画を発表。SKグループはAIインフラ構築に向けた包括的な協業を、現代自動車グループはロボットや自動運転向けのフィジカルAI開発を進める方針を示した。産学官が一体となり、韓国全体でAI基盤を強化する国家戦略が鮮明になった。
※フィジカルAI:ロボットや自動運転車など、現実世界で動作する機械をAIによって制御・判断する技術分野。
国家主導のAI投資が競争力を左右する時代へ
今回の発表は、韓国がAIを国家競争力の中核に据え、研究、人材、インフラ、産業応用を一体で整備する姿勢を示した事例として注目される。大学や企業、政府が同じ方向を向いて投資を進めることで、研究成果を産業へ展開しやすくなることが期待される。
一方で、AIデータセンターやGPUへの巨額投資を継続するには、多額の資金や電力、人材の確保が不可欠となる。技術革新のスピードも速く、投資回収までに時間を要する可能性があることはリスクと言える。
世界各国がAIを国家戦略として競い合うなか、韓国の取り組みは日本を含むアジア各国の政策や産業界にも影響を与える可能性がある。今後は、研究開発だけでなく、その成果を産業競争力や経済成長へ結び付けられるかが、国家AI戦略の成果を測る重要な指標の一つになると考えられる。
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