日本政府とインド政府は、日印首脳会談後に「人工知能(AI)分野における協力に関する日印共同声明」を公表した。両国はAIの研究開発や人材育成、国際ガバナンスまで幅広い分野で連携を強化し、安全で信頼できるAIエコシステムの構築を目指す方針を打ち出している。
日印がAI協力を包括強化 共同声明で戦略連携を拡大
2026年7月2日に公表された共同声明では、日本の高市早苗首相とインドのナレンドラ・モディ首相が、AIを経済、社会、科学技術、産業、ガバナンス、安全保障に大きな変化をもたらす汎用技術と位置付けた。
両首脳は、安全・安心で信頼できる、人間中心かつ持続可能なAIエコシステムを構築し、両国の競争力と強靱性を高めるため協力を推進することで一致した。
また、インドの「MAHASAGAR」と日本の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の下で協力を進め、インド太平洋地域やグローバルサウスにおけるAI開発を支援する姿勢を確認した。
「日印AI協力イニシアティブ(JAI)」や2026年4月に開催された第1回日印AI戦略対話の進展を踏まえ、戦略対話を定期的に実施することでも一致している。
さらに、広島AIプロセス(HAIP)やAIガバナンスに関するガイダンスを重視し、G20、OECD、GPAI、国連などの国際フォーラムで連携を強化する方針を示した。
AIモデルの評価や安全な設計・開発・運用、信頼できるAIコモンズを通じた協力、AIを活用したサイバーセキュリティ、重要インフラ保護、子どもの安全確保にも取り組むとしている。
加えて日本とインドをAI分野の戦略的研究開発パートナーへ格上げし、データセンターやGPU、半導体などAI基盤となるデジタルインフラの協力を拡大する。
大規模言語モデル(LLM)の共同研究やAI技術スタック、人材育成、共同研究、産学連携も推進し、日本企業とインドの教育・研究機関との連携強化も盛り込まれた。
声明では、2030年までに高度なAI人材500人をインドから日本へ受け入れる目標を改めて確認したほか、公共サービスや社会課題の解決を目指す「AI for All」の理念を共有した。
高市首相が日本でAIサミットを早期開催する意向を示し、モディ首相がこれを歓迎したことも明記されている。
連携拡大が競争力向上につながる可能性
日本とインドがAI分野で協力範囲を広げることで、研究開発や人材育成を相互に補完できる可能性がある。日本企業がインドの豊富な技術人材と連携しやすくなれば、新たなAIサービスや産業創出につながることも期待できそうだ。
また、AIインフラや半導体、サプライチェーンまで協力対象に含めた点は、経済安全保障の観点でも一定の意義があると考えられる。
特定地域への依存を抑えながら、多様な供給体制の構築を目指す動きが今後さらに広がるかもしれない。
一方で、AIガバナンスやデータ利用に関する制度は国ごとに違いがあり、実際の協力には制度調整やルール整備が課題になる場面も考えられる。共同研究や人材交流についても、継続的な運営体制が求められるだろう。
総じて今回の共同声明は、技術開発に加えて国際的なルール形成も視野に入れた幅広い協力の方向性を示したものと言える。
今後は具体的な共同プロジェクトや企業間連携がどこまで進展するかが、日印AI協力の成果を左右する重要なポイントになりそうだ。
外務省 「人工知能(AI)分野における協力に関する日印共同声明」
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