伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、通信事業者向けの自律化支援サービス「SAILOR Assessment」を提供開始する。
国際標準に基づいて通信ネットワークの自律化レベルを評価し、改善ロードマップの策定まで支援するサービスで、AI活用を前提とした次世代ネットワーク運用の実現を後押しする。
CTC、自律化レベル評価サービスを通信事業者向けに提供
CTCは通信事業者向けに、ネットワーク運用の自律化を支援するコンサルティングサービス「SAILOR Assessment」の提供を開始すると、2026年6月18日に発表した。
通信ネットワークの現状を分析し、自律化の進捗状況を可視化するとともに、改善に向けたロードマップを提示する。
近年は5GやIoT、生成AIの普及によって通信量が増加し、ネットワーク構成も複雑化している。ネットワークの監視をはじめとする一部の運用は自動化が進んでいるものの、多くの運用業務では依然として人手による対応が中心となっている。
こうした課題を背景に、通信業界ではAIを活用した「自律型ネットワーク」へのへの関心が高まっている。一方で、自社がどの程度自律化できているのかを客観的に把握する指標の整備が課題となっていた。
SAILOR Assessmentは、国際業界団体TM Forumのフレームワークに基づき、自律化レベル(ANL※)を評価する。障害対応や構成変更などの運用業務ごとに成熟度を診断し、現状と目標のギャップを明確化できる点が特徴だ。
さらに、評価結果をもとにAIや自動化技術の適用領域を整理し、1〜3年単位の改善計画を策定する。
TM Forumによる公式認定取得に向けた支援にも対応しており、エントリーモデルは300万円(税抜き)から提供される。
CTCは自律型ネットワーク評価資格の認定者を11名擁しており、評価から導入支援まで一貫して提供する体制を整えている。
※ANL(Autonomous Networks Level):TM Forumが定義する通信ネットワーク自律化の成熟度指標。運用業務の自動化やAI活用の進展度を段階的に評価するための国際的な基準。
自律型ネットワーク普及の追い風に 投資判断の高度化も
今回のサービス最大のメリットは、自律化の進捗を定量的に把握できる点だろう。
通信事業者は感覚的な評価ではなく、国際標準に基づく客観的な指標を活用することで、自動化投資の優先順位を明確化しやすくなると思われる。
また、自律型ネットワークの実現は運用コスト削減だけでなく、障害対応の迅速化やサービス品質の向上にもつながる可能性がある。
通信インフラの重要性が高まる中、安定したネットワーク運営を支える基盤技術があることにも大きな期待が持てそうだ。
一方で、評価結果が得られても、それだけで自律化が実現するわけではないだろう。
既存システムの刷新や運用プロセスの見直し、人材育成など追加投資が必要になるケースも考えられる。特に大規模事業者ではシステム構成が複雑なため、実装までに時間を要するかもしれない。
今後は生成AIの進化によって、ネットワーク監視や障害予測、構成最適化などの領域で自律化がさらに進展するとみられる。その際、どの業務から自動化すべきかを判断する評価基盤の重要性は高まるだろう。
その中で今回の取り組みは、通信業界におけるAIを活用した自律型ネットワーク導入に向けた準備基盤として位置付けられそうだ。
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