2026年6月10日、株式会社medimoは、AI診療録作成支援サービス「medimo」が聖マリアンナ医科大学病院に導入されたと発表した。最終的には約200名の医師が利用する計画で、1施設としては過去最大規模の導入事例となる。生成AIによる医療DXが大学病院レベルで本格化する動きとして注目される。
大学病院で過去最大規模のAIカルテ導入
今回導入された「medimo」は、診療中の会話を音声認識によって文字起こしし、生成AIを用いて診療録の下書きや要約を自動作成するサービスである。SOAP形式(※)のカルテ原稿作成やインフォームド・コンセント記録、診療内容の要約など、外来診療で発生する文書業務を支援する。
聖マリアンナ医科大学病院では、まず消化器内科で運用を開始し、その後、全院展開を進める方針だ。最終的には約200名の医師による活用を目指しており、medimoとして1施設あたり過去最大規模の導入事例となる。
導入の背景には、医療の高度化や高齢化に伴う診療業務の複雑化がある。医師は患者への説明や質問対応、同意取得、カルテ入力まで限られた時間で担っており、記録作成は大きな負担となっていた。同院はこうした課題解決への有効性を評価し、正式導入を決定した。
運用では院内専用スマートフォンを使用し、生成された要約文は専用中継機能「SmartPaste」を介して電子カルテへ送信される。個人情報保護や情報セキュリティにも配慮した体制のもと、医療現場への実装が進められる。
※SOAP形式:診療録の記載方法の一つ。主観的情報(Subjective)、客観的情報(Objective)、評価(Assessment)、計画(Plan)の4項目で診療内容を整理・記録する手法。
患者対応の質向上に期待 多職種展開への課題も
生成AIによる診療記録支援の最大のメリットは、医師の事務作業を軽減し、患者と向き合う時間の創出につながる点にある。カルテ入力や説明記録の作成時間が短縮されれば、限られた診療時間の中でも、より丁寧な説明やコミュニケーションを実現しやすくなる。説明内容や同意取得の経緯を適切に記録できれば、記載漏れの防止や医療の質向上にも寄与すると考えられる。
一方で、こうした取り組みの効果は、実際の運用を通じた検証によって初めて明らかになる。同院では今後、消化器内科での活用状況をもとに、診療記録作成時間の短縮や記載内容の質、医師の業務負担軽減などを確認していく予定だ。その結果を踏まえ、各診療科の業務特性に応じた活用方法の検討が進められる。
さらに将来的には、リハビリテーションや放射線診療、救急診療などへの応用も視野に入る。医師だけでなく多職種へ活用範囲が広がれば、病院全体の業務効率化やチーム医療の強化につながる可能性がある。一方で、診療科ごとに求められる記録内容や業務フローは異なるため、現場に即した運用体制の構築が普及の鍵を握ることになりそうだ。
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