2026年6月3日、米Amazonはショッピングアプリ向けの新たなビジュアル検索機能を発表した。ユーザーが検索バーに商品の特徴を入力すると、AIが実在しないイメージ画像をリアルタイムで生成し、その画像を起点に商品を探せる仕組みである。従来のキーワード検索では見つけにくかった商品発見体験を大きく変える可能性がある。
AI画像が検索の入口に 商品探しを視覚化
今回の発表で最も注目されるのは、検索バーへの入力内容に応じてAI生成画像を即座に表示する機能だ。ユーザーは商品名や専門用語を知らなくても、「柔らかい質感の白いソファ」や「ゆったりした襟のシャツ」といった自然な表現で検索できる。
従来のEC検索では、商品名やカテゴリ名を正確に把握していなければ目的の商品へたどり着きにくかった。一方、新機能では入力された特徴をもとにAIが画像を生成し、そのイメージに近い商品群を提示する。検索行為そのものが視覚的な体験へと変化する形だ。
Amazonは同時に、カメラで映した商品から類似商品を探せる「Amazon Lens Live」や、商品画像から関連商品を表示する「More Like This」も強化している。さらに画像検索時に色や素材などの条件を追加できる機能や、画像内の一部分だけを選択して検索する機能も提供する。
背景には生成AIの急速な進化がある。検索エンジンが文字情報を理解する段階から、人間の曖昧なイメージや感覚的な要望を理解する段階へ移行しつつあると言える。
ECの競争軸は検索精度から発見体験へ
Amazonが目指しているのは、ユーザー自身も言語化できていない購買意欲を引き出す「発見型ショッピング」の実現と考えられる。
特にファッションや家具、インテリアなど見た目が重要な商品カテゴリーでは、消費者は必ずしも商品名から探しているわけではない。「こんな雰囲気のものが欲しい」という感覚的なニーズをAIが補完できれば、購入機会の拡大につながる可能性が高い。
一方で課題もある。AIが生成する画像は実在商品そのものではなく、あくまで検索の入口となるイメージである。そのため、生成画像と実際の商品に差異がある場合、ユーザーの期待とのギャップが生じるリスクも存在する。また、AIが提示する候補によって消費者の選択肢が偏る可能性も議論の対象となるだろう。
今回の発表は、EC業界における検索の概念を大きく変える動きとして注目される。このサービスが好調を維持できれば、これまでの「文字で探す時代」から「イメージで探す時代」への転換点となる可能性があり、他のEC事業者や検索サービスにも同様の機能拡大が広がっていくかもしれない。