中国発スタートアップ「X Square」、数十億円の資金調達を新たに実施 エンボディドAIで次世代ロボットの実現へ

2025年3月8日、中国のスタートアップ企業「自変量機器人(X Square Robot)」が、プレシリーズAの2回目の追加ラウンドで、数億元(数十億円超)を調達したと報じられた。
出資は、光速光合(Lightspeed China Partners)と君聯資本(Legend Capital)が主導し、北京機器人産発展投資基金などが参加したとのことだ。
X Square開発、「WALL-A」モデルの特徴
X Squareは、エンボディドAIの開発に特化した企業で、2023年12月の設立以来、プレシリーズA(※1)とその追加ラウンド(※2)により合計1億元(約20億円)以上の資金を調達した。
エンボディドAIとは、物理的な環境で自らの動作を理解し、適応する能力を持つ人工知能を指す。X Squareが開発した基盤モデル「Great Wall」シリーズの「WALL-A」は、世界最大級のパラメーター数(※3)を誇り、汎用性と汎化性に優れていると言われている。
「WALL-A」モデルは、少ないサンプルで物理的な環境変数や動作モデルの汎化と遷移を実現し、複雑なオペレーションでの優位性を発揮するという。
中国のロボット産業の現状と今後の展望
中国政府は、技術革新を経済成長の鍵と位置づけ、ロボット産業への支援を強化している。その結果、中国は産業用ロボットの導入でドイツを追い抜き、2023年に世界第3位のロボット密度を達成した。
中国のロボット産業が活性化する中、X SquareはエンボディドAI技術を活用し、ロボット分野での「ChatGPT」を目指しているという。
今後、X SquareはエンボディドAI技術を駆使して、ロボット市場での地位を確立することが期待されている。
技術革新が進む中で、同社の「WALL-A」モデルが実用化されれば、さまざまな産業で導入が進む可能性が高い。特に、製造業や物流業界においては、自律的に作業を行うロボットの需要増加が見込まれる。
また、中国政府の支援が続く限り、X Squareは資金調達や技術開発を加速させることが可能だと思われる。さらに、競争力を維持することで、国際市場への進出も視野に入れることができるかもしれない。したがって、エンボディドAIの進展は、ロボット産業全体に大きな影響を与えることになるだろう。
※1)プレシリーズA:
スタートアップ企業がシリーズAの正式な資金調達前に行う投資ラウンド。プロトタイプ開発や市場テストの資金を確保する目的で実施される。
※2)追加ラウンド:
企業が既存の資金調達ラウンド(例:シリーズA)の後に、同条件または類似条件で追加の資金を調達すること。
※3)パラメーター数:
AIモデルの複雑さや性能を示す指標で、数が多いほど高度な処理が可能とされる。