Web3の将来性と現状の課題をわかりやすく解説【バブルは終わり?】

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2022年3月頃まではBTCを始めとした仮想通貨が爆伸びしたことで、億り人を多数排出して話題になっていましたが、最近は仮想通貨の価格が軒並み下がり冬の時代が続いています。

まるでバブルが弾け、Web3はもう終わったようにも見えますが、筆者はそうは思いません。

本記事ではWeb3の歴史や特徴から将来性と現状の課題を出来るだけわかりやすく解説します。

目次

Web3とは?歴史と合わせて解説

Web3の説明をする前に、Web1からの歴史を振り返ることでより理解を深めていきましょう。

Web1とは

Web1とは1990年代のインターネット黎明期のことで、「ホームページ時代」とも呼ばれています。

この頃はインターネットの速度が遅く動画や画像の処理に時間がかかるため、テキストでの発信が中心となっていました。

また情報のやり取りが難しく、一方通行のコミュニケーションしか出来ないのが特徴です。

Web2とは

Web2とは2000年代から現在までのことで、「SNS時代」とも呼ばれています。

TwitterやFacebook、Youtube、Instagram、TicToc等、様々なSNSにより双方向のコミュニケーションが可能になり、繋がれる人の数が爆発的に増えました。

SNSの中で影響力のあるインフルエンサーと呼ばれる人たちが出てきたのもこの時代です。

またインターネットの速度が上昇したことで、画像や動画の送受信もできるようになり、より便利になりました。

しかし便利になった反面、企業に個人情報が集まり、利用されることで特定の企業(GAFA等)だけが莫大な利益を手にする構造になってしまうという問題がありました。

Web3とは

Web3とはブロックチェーン技術を使った次世代のインターネットで、分散型インターネットとも呼ばれています。

Web3ではブロックチェーン技術を使って複数のコンピューターで分散的にデータを共有します。

そのためGAFA等の中央集権的な企業によるデータの独占を防ぎ、富の偏りを防ぐことができます。

Web3はまだまだ発展途上ですが、今後大きな役割を果たすことが期待されています。

Web3の特徴

そんなWeb3には以下3つの特徴があります。

  • 個人がデータを管理
  • 決済・契約の仲介手数料削減
  • 単一障害点の排除

詳しく解説します。

個人がデータを管理

Web2では企業がデータを管理しているのに対し、Web3では個人でデータを管理します。

メリットとしては、サービスを利用する際に個人情報の登録が不要となり情報漏洩の心配がなくなる、IDやパスワードが不要となりサービスを利用する際に手間を省くことができるといった点が挙げられます。

一方デメリットとしては、トラブルが発生した際は全て自分で対応しなければならないことが挙げられます。

決済・契約の仲介手数料圧縮

私たちが日常使っているクレジットカードや銀行、証券会社は決済や契約の際に仲介手数料を徴収することで利益を得ています。

Web3ではユーザー同士の取引(P2P)が可能になるため、中間組織による仲介が不要になります。

そのためユーザーは手数料を削減することができ、より安価でサービスを受けることができるようになることが予想されます。

単一障害点の排除

Web2のデータは中央集権組織によって保管されているため、その保管データに不具合が発生すると大規模なサービス停止に繋がります。

Web3のデータはたくさんの参加者によって分散的に保管されているため、参加者全員に対して同時にデータの不具合が発生しない限りサービスが停止することはありません。

Web3の事例紹介

次に実際に利用されているWeb3の事例を紹介していきます。

仮想通貨

まず初めに一番有名なのは仮想通貨です。

仮想通貨は中央銀行や政府が発行しない独立した通貨システムであり、ユーザー同士が直接(P2P)取引することができます。

また仮想通貨はお金の代わりとして利用できるだけでなく、ETHのようにプログラムによる自動取引(スマートコントラクト)ができるなど、様々な機能を備えたものもあります。

代表例:BTC、ETH

NFT

NFTは唯一無二のデジタルデータの所有権を証明するためのトークンです。
NFTは複製できないため、人気プロジェクトは高額で取引されています。

またNFTと言えば画像が有名ですが、音楽や動画にも活用されています。

NFTの中には画像としてだけでなく、保有していることでコミュニティに入れたり、新しいNFTをもらえたりとユーティリティ(機能)を持っているものもあります。

代表例:Crypto punks、BAYC

DeFi

DeFiとはDecentralized Financeの略で、分散型金融のことです。対義語として私たちが普段使っている銀行や証券会社はCeFi(Centralized Finance)と呼ばれています。

DeFiはCeFiを利用することなく、直接ユーザー同士(P2P)で金融取引を行うことができます。

プログラム(スマートコントラクト)を利用することでトラストレス(信頼関係不要)に取引できるのがDeFiの画期的なポイントです。

DeFiサービスには仮想通貨の借入れや貸出し、契約による資産の保管、取引などがあります。

代表例:Uniswap,Maker

DAO

DAOとはDecentralized Autonomous Organizationの略で自立分散型非中央集権組織のことです。

簡単に言うと、社長や経営者がおらず参加者全員で意思決定を行うことで、運営・管理を行っていく組織です。

DAOの定義については色々な意見がありますが、bitFlyer社が分かりやすいDAOの定義を作成していたので、参考にしましょう。

引用:https://blockchain.bitflyer.com/pdf/Web3Research2023.pdf

上図のとおり、DAOは運用・システム自動化と統制手段の2種類の観点から、レベルを区分できます。

完全なるDAOとは、運用・システムが完全に自動化されており、なおかつ統制手段がトークンorコミュニティであるものと整理できます。

ビットコインが完全なるDAOと呼ばれるのはこのためです。

逆を言うと、運用・システムも自動化されておらず、統制手段が法人であるものはDAOではありません。DAOの判断をする時は上図を参考にしましょう。

代表例:ビットコイン、イーサリアム

メタバース

メタバースの定義は様々な意見があるので一概には言えませんが、本記事ではアバター(分身)を操作して動き回ることができる仮想空間と定義します。

直接メタバースとブロックチェーンが繋がっているわけではないですが、メタバースの中にNFTが導入されたりWeb3と関係が深いことから紹介させていただきました。

代表例:The Sandbox

GameFi

GameFiとはゲーム内に仮想通貨やNFTなどを利用することで、ゲーム内のアイテムに現実世界の価値をつける経済システムです。

ゲームをして稼ぐP2E(Play to Earn)や、動いて稼ぐM2E(Move to Earn)等もGameFiの一種です。

代表例:Axie Infinity、STEPN

Web3の将来性

Web3の将来性は以下3点を理由に、とても明るいと言えます。

  • 日本政府がWeb3を推進している
  • 大企業がWeb3市場に参入を進めている
  • 決済・契約の仲介手数料を削減できる

詳しく解説します。

日本政府がWeb3を推進している

日本政府は国策としてWeb3事業の環境整備を進めており、経産省では「Web3.0政策推進室」を設置してWeb3事業の環境整備に取り組んでいます。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/010_03_01.pdf

日本は世界的に見てもWeb3事業がやりやすい国に整備されることを目指しています。

Web3事業先進国となることで海外からのお金や人材が日本に集まり、国内投資の拡大、イノベーションの加速、所得向上に繋げたいとのこと。

また具体的なアクションとして法規制や税制等をどう変えるか、どこが論点なのかまで議論がされており、政府の本気度が伝わります。

大企業がWeb3市場に参入を進めている

大企業もどんどんWeb3市場に参入を進めています。

NTTドコモ

NTTドコモはWeb3活用に向け、今後5,6年で5000~6000億円を投資することを発表

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1454160.html

博報堂

博報堂は日本発のパブリックブロックチェーンAstar Networkと連携し、新会社を設立

https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/100908/

3メガバンク信託銀行含む7社

三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行含む計7社は、デジタルアセット全般の発行・管理基盤を扱う合弁会社設立に向け検討開始

https://www.neweconomy.jp/posts/284583

ここでは国内を中心に紹介しましたが、海外でもNIKEやLVMH(ルイヴィトンを含む高級ブランド)等、どんどんWeb3市場に参入してきています。

決済・契約の仲介手数料を削減できる

Web3の特徴でも解説しましたが、Web3を使うことでユーザーは仲介手数料を削減することができます。

手数料が高い方と安い方を選べるなら誰でも安い方を選びますよね?

消費者庁の調査ではNFTを保有している人は1.5%と言われています。仮想通貨を保有している人はこの数よりは多いですが、まだまだ少ないのが現状です。

利用者の増加に合わせて市場は盛り上がるので、Web3市場はこれからと言えます。

Web3.0の課題

Web3は将来性がある一方、以下のような解決すべき課題もあります。

  • 利用するためのハードルが高い
  • 詐欺行為が横行している
  • 法的な整備が追いついていない

詳しく解説します。

利用するためのハードルが高い

Web3を利用するには以下のような高いハードルがあり、利用することが難しくなっています。

・一定レベルの基礎知識が必要

・全て自己責任で管理しなければならない

ここをどう解決するかがとても重要であり、Web3が多くの人に利用されるには必須の課題となっています。

詐欺行為が横行している

Web3では分かりにくいこと、匿名であることをいいことに、詐欺が横行しています。

自分の資産は自分で守る意識を持つことはもちろん大切ですが、詐欺行為を減らすための取り組みを強化することも課題の一つとして挙げられます。

法的な整備が追いついていない

Web3では技術が先行しており、法整備が追いついていません。

具体的には税制面をネックにWeb3企業が海外に流出しています。

少しずつ改善はされてきていますが、今後も慎重かつ迅速な法整備を行うことで海外流出を防ぐだけでなく、海外企業を日本に誘致していくことが重要です。

まとめ

本記事ではWeb3の歴史や特徴を元に、将来性と現状の課題について整理しました。

現在は冬の時代が続いており仮想通貨の価格は低迷していますが、Web3の将来性は明るいことが理解できたと思います。

冬相場の今も新しいプロジェクトは粛々と作られているので、次のバブルに乗れるようしっかり準備していきましょう。

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参考文献

本記事に使用した文献は以下になります。

・各サービスの紹介文や画像に関しては、記事中にリンクを記載

・消費者庁によるNFTの動向整理はこちら

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