ナスダック上場VivoPower、初のXRP専門企業へ転換 約180億円調達

2025年5月28日、ナスダック上場の再生可能エネルギー企業VivoPower Internationalが、XRPに特化したデジタル資産戦略を発表し、約180億円を調達したと明らかにした。
XRPを軸に大転換、サウジ王族らが私募主導
VivoPowerは、XRP(※1)を中心とした新たな資産戦略を打ち出し、1億2100万ドル(約180億円)の私募調達を実施した。これにより、同社は上場企業として世界で初めてXRPを主要保有資産とする企業となる。
今回の資金調達は、サウジアラビアのEleventh Holding Company会長であるアブドゥルアジーズ王子が主導。さらに、元SBIリップルアジアCEOでリップル取締役を歴任したアダム・トレイドマン氏も戦略アドバイザリーボード会長として参画するなど、業界の著名人が名を連ねている。
背景には、米トランプ大統領がXRPを含む5つのデジタル資産による国家備蓄構想を掲げた点がある。大統領はX(旧Twitter)上で、ビットコイン、イーサリアム、カルダノ、ソラナと並びXRPを「国家戦略準備金」の対象とする意向を示したが、その後政権側が釈明する一幕もあった。
VivoPowerは、こうした政治的動向がXRPの長期的な価値向上につながるとの見方を示している。
VivoPowerは今回の私募で、1株6.05ドルで2000万株を売却。前日の終値をわずかに上回る水準ながら、調達額は約1億2100万ドルに達した。この資金はXRPの購入・保有、XRPL(※2)のDeFi開発支援、既存債務の返済などに充てられる予定だ。
これにより、同社は持続可能エネルギーを主軸としたビジネスから、デジタル資産分野へと大きくシフトする。
同時に、電気自動車事業「Tembo」と電力活用型マイニング事業「Caret Digital」の分離・独立を、2025年第3四半期末までに完了させる計画も発表された。
今後の展望とXRP戦略の波及可能性
短期的には、VivoPowerの株価は話題性や期待先行で上昇する可能性がある。市場も「初のXRP本格導入企業」という物語性に魅力を感じるためだ。
ただし、中長期的に安定した評価を得るには、XRPLのDeFi開発やマイニング事業の独立が実際に成果を出すことが条件となる。
2025年第3四半期末までに電気自動車事業とマイニング事業の分離が完了すれば、よりクリアなビジネス構造を築けるだろう。ただし、XRPの価格が下落した場合、同社のバランスシートに与える影響は小さくない。
そのため、VivoPowerの今後の成否は、XRPエコシステムの拡大と規制環境の安定性に強く依存すると考えられる。
最終的に、この事例が他の上場企業の暗号資産戦略に波及するか否かが、デジタル資産業界全体の未来を占う分岐点となるだろう。
今はまだ先駆的な試みに過ぎないが、うまくいけば「XRP標準」を築く先導役となる可能性も秘めている。
※1 XRP:リップル社が開発したブロックチェーン上の暗号資産。国際送金や即時決済に特化した設計が特徴。
※2 XRPL:XRP Ledgerの略称。XRPを基軸とした分散型台帳技術で、送金速度と手数料の低さが強み。