TOKIUM、経理業務をAIで自動運転化する「経理AIエージェント」提供 第1弾は出張手配エージェント

株式会社TOKIUMは2025年5月22日、AIと人の連携により経理業務を自律実行する「経理AIエージェント」の提供開始を発表した。第1弾は出張手配の業務を代行する機能「出張手配エージェント」で、7月より国内で順次展開する予定だ。
出張申請から手配までAIが一括代行へ
TOKIUMが新たに発表した「経理AIエージェント」は、経理業務の自動化を一段進めるサービスである。AIが業務を自律的に実行し、品質管理や導入支援をプロフェッショナルスタッフが担うという“二層構造”が特徴だ。
サービス第1弾として7月にリリース予定の「出張手配エージェント」は、ユーザーがチャットで行き先と日程を入力するだけで、申請要否の判断から申請書作成、交通・宿泊の手配までを自動で行う。社内規程の確認や承認作業も別のAIエージェントが代行し、業務全体をノンストップで完結させる。
今後は承認代行エージェントや照合エージェントの提供も予定されており、発注と請求のデータ照合や、不一致時のみ通知する機能などが順次リリースされる見込みだ。
TOKIUMはすでに、10年以上にわたり8000人超のオンラインオペレーターによる領収書・請求書のデータ化を実施しており、「ヒューマンインザループ(※)」の基盤を確立済み。AIの出力精度を維持・向上させるための実運用体制も整っている。
さらに同社はAI定着支援にも注力。自社運営のスキャンセンターによるデータ取り込みや顧客オフィスへのスタッフ常駐により、導入現場の実行支援と業務監視までを担う体制を整えている。
※ヒューマンインザループ(HITL):AIの出力結果に人間が介入して確認・修正・評価することで、AIの学習精度や実行結果の品質を向上させる仕組み。実用化に不可欠な要素とされる。
経理DXの起点に 自律型AI導入の壁は人の支援で越えるか
「経理AIエージェント」は、単なる業務効率化にとどまらず、経理の働き方そのものを変える可能性を秘めている。特に出張手配のような定型業務をAIが担うことで、担当者はより戦略的な業務へとシフトしやすくなると考えられる。
一方で、AI活用には精度担保と業務定着という2つの壁がある。TOKIUMはこれに対し、独自のオペレーション基盤と人的サポートで対応する構えだ。たとえば、スキャンセンターによる物理データの取り込みや、企業オフィスへの常駐支援といった取り組みにより、AIの導入障壁を下げている。
このように、人とAIの連携によって精度と安定運用の両立を目指すTOKIUMは、経理DX市場で存在感を増していく可能性がある。
ただし、業種特有の運用ルールや社内規程の違いへの対応には、今後も慎重な最適化が求められるだろう。