PwC、シンガポールにAIハブ開設 3年で400万米ドル投資し人材と技術の拠点に

2025年5月21日、コンサルティング大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、シンガポールにAIハブを開設したと発表した。
今後3年間で400万米ドルを投資し、同国のAI人材育成やソリューション開発を支援する。東南アジアにおける戦略的拠点としての役割を担う見通しだ。
PwCがAIファクトリーを軸に技術開発を加速
PwCはAIハブの第一弾として、既存の「AIファクトリー」への投資を拡大する。同ファクトリーは既に政府機関や金融、物流といった業界向けにAIソリューションを展開しており、今回のハブ開設によりグローバルネットワークとの連携を強化する。
40カ国以上にまたがる開発者やエンジニアが繋がることで、より迅速かつ高度なAI開発が可能になると見られる。
また、現地のシンガポール国立大学(NUS)などと提携し、学生に対して実践的なAI教育やインターンシップを提供。産学連携による人材育成にも注力する。
ハブ自体は2025年1月に経済開発庁(EDB)の支援で設立されており、AIチームは当初の3人から15人に増加。今後12〜15カ月以内にさらに20人規模に拡張される予定だ。
ASEAN地域のAI中核拠点へ 人材育成と連携が鍵
今回のAIハブ開設は、PwCがASEAN全域でのAI展開を加速するうえで重要な一手と位置づけられる。シンガポールは東南アジアのデジタル中枢としての地位を確立しており、優秀な人材とインフラの集積が戦略拠点に適していると判断されたとみられる。
一方で、AI分野は急速に技術が進化しており、人材獲得競争も激化している。PwCが長期的な成果を上げるためには、継続的な教育機会の提供と、政府・学術機関との連携をいかに強化できるかが鍵となるだろう。
人材育成と国際的な技術連携のハブとして、今後のアジア市場におけるAI普及に一定の波及効果を及ぼす可能性があると言える。