2024年2月4日、米国のビル・ハガティ上院議員が、ステーブルコインに関する新たな規制枠組みを創設する法案を提出する意向を示し、仮想通貨市場に大きな注目が集まっている（ブルームバーグ報道）。
この法案は「米国のステーブルコインのための国家イノベーションの指針と確立」と名付けられ、米国を暗号資産の中心地にすることを目指すものだ。
本稿では、この法案の概要、背景、そして今後の展望について解説する。

規制強化の背景と法案の概要　米国が描く暗号資産の中心地戦略

ハガティ議員が法案提出に至った背景には、ステーブルコイン市場の急速な成長と、それに伴う規制の必要性がある。
ステーブルコインは、その価値をドルなどの法定通貨に紐づけることで価格の安定性を実現した仮想通貨だ。しかし、その仕組みやリスクについてはまだ十分に理解されていない部分も多く、マネーロンダリングやテロ資金供与などの不正行為に利用されるリスクも指摘されている。

ハガティ議員の法案は、これらのリスクに対応するため、ステーブルコインに対する規制を強化し、市場の健全性を確保することを目的としている。具体的には、ステーブルコインの裏付け要件として、支払いを「財務省短期証券」「米ドル」「連邦準備銀行券」に限定することに加え、発行体に対し、監査済みの報告書を毎月公表する義務を課す内容が盛り込まれる予定だ。

また、この法案は、米国を暗号資産の中心地にすることを目指すという大きな目標も掲げている。ハガティ議員は、安全かつ成長を促進する規制枠組みを創設することで、米国が暗号資産分野で主導的な役割を果たすことを期待している。

法案の詳細と今後の展望　超党派の支持と市場への影響

ハガティ議員の法案は、ステーブルコインの裏付け要件、報告義務、規制基準など、具体的な規制内容を定めている点が特徴だ。特に、発行者が連邦政府または州政府のどちらの規制を受けるかについての基準も定められることで、規制の明確化が図られることが期待される。

この法案の提出は、ステーブルコイン市場に大きな影響を与える可能性がある。規制が強化されることで、ステーブルコインの普及が遅れる可能性もあるが、一方で、市場の健全性が向上し、投資家の保護につながるという期待もある。

米国におけるステーブルコイン規制の強化は、世界中の仮想通貨市場に影響を与える可能性がある。今後の規制動向は、仮想通貨市場全体の発展を左右する重要な要素になり得るため、注視しておくべきだろう。