ソフトバンク子会社SB Intuitions、AI研究支援制度を導入

2025年2月、ソフトバンクの子会社であるSB Intuitionsが、AI研究において博士号を目指す社員を支援する新制度「社会人ドクター進学支援制度」を導入した。
本制度は、社員が働きながら高度な学術研究を進められる環境を整えることを目的としている。この動きは、AI分野の人材育成が急務となる中で、企業の競争力強化につながると期待されている。

AI人材育成の必要性と制度の詳細

AI技術の発展に伴い、企業は高度な専門知識を持つ人材の確保を急いでいる。

AIは多くの産業で活用が進み、ビジネスの在り方を変革する技術として注目されている。特に、日本国内ではAI人材の不足が指摘されており、企業による教育支援の重要性が増している。

ソフトバンクは、AI技術の社会実装を推進する企業戦略の一環として、専門人材の育成を重視している。その具体策の一つとして、SB Intuitionsが導入した「社会人ドクター進学支援制度」は、社員の学びを支える仕組みを整えた。

本制度では、授業料の補助や特別有給休暇を提供し、社員が仕事と研究を両立できる環境を構築している。

具体的には、入学金や受験料を含め年間最大200万円（半期上限100万円）の支援が受けられる。また、研究や授業に専念できるよう、週に1日（1カ月あたり最大4日）の特別有給休暇を付与する。

さらに、制度の公平性を確保するため、対象者は試用期間を満了した正社員に限定されている。また、研究テーマは業務に関連するものに限られ、在学中に企業への貢献が求められる。

これにより、社員が得た知識や研究成果を即座に事業へ還元する仕組みが整えられている。

企業の研究開発力強化と今後の展望

本制度の導入により、SB Intuitionsの社員は専門性を高め、AI技術の最前線で活躍する人材へと成長することが期待される。博士号の取得は、高度な研究スキルの獲得だけでなく、企業内の技術革新を促進する要素ともなる。ソフトバンクグループとしても、AI研究者の育成は事業戦略上、極めて重要な位置づけにある。

同様の取り組みは、海外のテクノロジー企業でも進んでいる。

GoogleやMicrosoftは社員向けの大学院進学支援プログラムを提供し、AI分野の研究開発力を強化している。国内においても、楽天やNTTグループが博士課程の学費補助を実施しており、業界全体でAI研究を支援する動きが加速している。

今後、SB Intuitionsの制度が成果を上げれば、支援内容の拡充が検討される可能性もある。

たとえば、研究費のさらなる増額や、共同研究機関との連携強化などが考えられる。

また、AI技術の進化に伴い、企業と大学が連携した新たな教育プログラムの創出も視野に入るだろう。

本制度は、社員のキャリアアップを後押しするとともに、企業の競争力向上にも寄与するだろう。