リクルート、スタディサプリに生成AI字幕機能を導入

2025年2月、リクルートはオンライン教育サービス「スタディサプリ」に生成AIを用いた字幕機能を導入した。聴覚障害者への配慮や、騒がしい環境での学習支援を目的とした取り組みである。第1弾として、高校生向け「数学Ⅰ」「数学A」「情報Ⅰ」基礎動画384本に字幕が追加された。

高精度な生成AI字幕機能の実現と導入対象

リクルートが提供する「スタディサプリ」は、幅広い学年を対象とするオンライン教育サービスだ。新たな字幕機能は、音声認識AIで動画音声を文字化し、教材データを基に生成AIが校正する二段構成である。これにより、従来の自動字幕で課題とされた誤字や文脈の齟齬を抑え、高精度な字幕を実現する。

今回、初期導入として高校生向け「数学Ⅰ」「数学A」「情報Ⅰ」基礎動画384本に字幕が追加された。追加費用は不要であり、自治体や学校単位での活用も視野に入れている。

スタディサプリは個人利用だけでなく、自治体や学校単位でも利用が広がっており、全国の約5000校の高校の約半数が導入している。教師や生徒からは字幕対応を求める要望が多く寄せられていた。

教育現場のニーズと生成AI字幕への期待

教育現場からは期待の声が上がっている。

字幕機能の導入の利点として、聴覚障害を持つ生徒に対する教育のアクセシビリティが向上する点が挙げられる。これにより、彼らは新たな学びの機会を得ることができ、教育の平等性が促進される。

移動中でも学習しやすくなるとの声も多い。

騒がしい環境でも学習が可能になるため、通学中や公共の場でも動画を活用しやすくなる。生成AIによる高精度な字幕が提供されることで、音声が聞き取りにくい状況でも内容を理解できるようになり、学習の継続性が保たれる。

生成AIの技術的な限界と今後の展望

スタディサプリの字幕機能導入はメリットが多いが、生成AIの技術的な限界も考えなければならない。

生成AIは一般的な言語や表現には強いが、特定の専門用語や地域特有の方言に対しては誤認識が発生し、誤った情報を伝えるリスクがある。この問題は、より多様なデータセットでの学習や、専門分野に特化したモデルの開発によって克服される可能性がある。

また、生成AIは文脈を完全に理解することが難しく、特に長文や複雑な内容においては誤解を招くことがある。これを克服するためには、文脈を考慮したトレーニング手法や、ユーザーからのフィードバックを活用したモデルの改善が重要だ。

リクルートは対象科目や学年の拡大を計画し、入試対策動画や主要教科への適用を検討している。さらに、字幕生成の即時対応や多言語化など、AI技術の進化を活用した機能強化も視野にある。

生成AIを活用した字幕機能は、教育のアクセシビリティを高め、多様な学習スタイルを支える重要な一歩である。今後の進展に注目したい。